「質問者以外が大きな声を」「答えないからこうなってる」 斎藤元彦知事会見が紛糾、知事は質問途中で退席

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「終わってない」「逃げるな、戻れよ」

   斎藤元彦兵庫県知事は2025年12月3日、定例記者会見で記者が質問途中だったのにもかかわらず退席した。異例の事態に記者席から怒号が飛んだ。

  • 2024年の兵庫県知事選挙(写真:アフロ)
    2024年の兵庫県知事選挙(写真:アフロ)
  • 斎藤元彦知事の辞職を求めるデモ行進(2025年6月29日、兵庫県姫路市)
    斎藤元彦知事の辞職を求めるデモ行進(2025年6月29日、兵庫県姫路市)
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「ご質問の趣旨があまり理解できていない」

   定例記者会見は、はじめに斎藤知事が発表項目を説明し、記者側から記者クラブの幹事社、加盟社、加盟社以外の報道機関やフリーランスの記者が質問する。知事が途中退席するきっかけとなったのは、加盟社以外の質問に移り、あるフリーランスの記者とのやりとりだった。

   質問の内容は、こうだ。12月の県議会に「インターネット上の誹謗中傷、差別等による人権侵害の防止に関する条例案」が提出されたことに関連し、条例案制定の理由として、2023年9月、斎藤知事と丸谷聡子明石市長との電話のやり取りが泉房穂・前明石市長によってSNSで暴露され、知事が恐れを感じたことが根底にあるのではないか――。

   泉前市長が投稿した内容は、兵庫県立明石公園(明石市)内にある旧市立図書館跡地の活用方法を巡り、「斎藤知事から明石市にお詫びの電話があった」とするもの。当時、斎藤知事は定例記者会見で「あくまで知事と現役の市長との電話の内容なので、これが外部に、前市長とはいえ伝わり、それが誤った内容でSNSを通じて数十万人に拡散した形になるので、これ自体はやはり恐ろしいことであり、大変遺憾なことだと思う」と発言。その後、泉氏の投稿も削除された。

   条例案では、特定の地域や人種などの属性による不当な差別について、県が削除要請や発信者への行政指導等ができるとしている。記者は、これらの経緯を踏まえ、斎藤知事は当時、主に個人間の誹謗中傷やプライバシー侵害について言及し、SNS上での誤った情報や安易な拡散、ネット上での誹謗中傷による名誉、プライバシーなどの侵害が大きな問題になっているという風に発言していたことを指摘。そして、これは「昨年の兵庫県知事選で起こったこと」であり、「斎藤知事を応援した立花孝志被告が竹内元県議についての発信を行っていたことで、今般、逮捕、起訴された内容」と述べて、今回の条例案は知事選と関係ないのか、と質問した。

   斎藤知事は、

「ご質問の趣旨があまり理解できていない面もありますけど、そこは申し訳ないんですけど」

と前置きしながら「申し上げてきた通り、ネット上における誹謗中傷というものは、やはりやめるべきだ、やるべきではないということ」とこれまでと同じく一般論を述べた。

「幹事社さん、また大きな声を出された方が」

   記者が、「『ご質問の趣旨がわからない』という非常に挑発的なことを言われたので分かりやすく言うと、条例案は兵庫県知事選を踏まえた内容ではないのかと聞いています」と問いかけ、改めて聞いた。

「斎藤さんのご自身の恐怖を感じたことから始まった条例ですが、その後に起こった知事選における誹謗中傷、あなたを応援した立花孝志の行為等は反映されていないということでいいですか」

   斎藤知事は「前回の選挙について、私自身は、自分ができることを精一杯させていただいた」と質問への回答を避ける説明をしたところ、「幹事社さん、知事が立法事実に答えてないから指導してください」と別の記者が声を上げた。その声を聞いた斎藤知事は、

「私の発言中に質問者以外の方が大きな声を出されていますけど、その点についてのご見解を」

と反応した。

   幹事社は「発言は基本的には指名されたときにお願いしたい」と注意しつつも「知事におかれましても、我々の質問の趣旨を的確に捉えていただいて、率直にご回答いただけるようお願いします」と述べた。

   斎藤知事は「これまで通りしっかり答えさせていただきたいと思います。時間なのでそろそろまとめを」と述べたところ、「今の質問しっかり答えてよ」と記者から大きな声があがった。斎藤知事は、

「幹事社さん、また大きな声を出された方がおりますけど、その点についてどう思われますか」

と繰り返したが、記者から「知事が答えないからこうなってる」などと怒号が飛び交った。

   すると斎藤知事は「ありがとうございました」と演台から離れる。「終わってない」「逃げるな、戻れよ」など厳しい声が飛んだが、約85分続いた定例会見を一方的に終えた。

会見場には屋外から抗議の声が響く

   斎藤知事の定例記者会見では、25年4月頃から会見場となっている兵庫県庁の部屋から近い歩道橋で知事に反対するデモが行われ、「斎藤辞めろ」などの声が記者会見室まで聞こえる異常事態となっている。

   10月29日には、定例記者会見の時間が県庁に近接する小学校で音楽会が開かれる時間と重なるため、地域や教職員らの声を受けて定例記者会見を中止に。神戸新聞の記事によると、保護者や教職員組合、神戸市教育委員会などから県に対し「抗議活動の音が大きく、演奏が聞こえない可能性がある」「会見日時を変更するなど配慮してほしい」などの声が寄せられたという。

   また記者側は会見時間の延長を求めているものの、斎藤知事の定例記者会見は「公務の都合」という理由で、1時間程度と区切られている。

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