「目障りだ」有害鳥獣用の箱わなにクレーム、やむなく撤去も ドア盗難被害も発生、地元猟友会は困惑

   有害鳥獣の捕獲に使われる箱わなについて、「目障りだ」「子供が触ったら怪我をする」などとクレームが寄せられ、福岡県内の町役場や猟友会が撤去などの対応に追われている。

   クレームとの関係は不明だが、箱わなのドアが盗まれたり、勝手に閉められたりする被害も出た。箱わなは、農作物の被害を防ぐためには必要とされているが、関係者は、難しいかじ取りを迫られているようだ。

  • とある県下の猟友会@k_f_ryoyukaiが投稿した動画から
    とある県下の猟友会@k_f_ryoyukaiが投稿した動画から
  • ドアが盗まれたという箱わな(写真は、とある県下の猟友会@k_f_ryoyukai提供)
    ドアが盗まれたという箱わな(写真は、とある県下の猟友会@k_f_ryoyukai提供)
  • とある県下の猟友会@k_f_ryoyukaiが投稿した動画から
  • ドアが盗まれたという箱わな(写真は、とある県下の猟友会@k_f_ryoyukai提供)

ドアが盗まれ続け、「カメラ撮影中」の看板も設置

   茂みの中に設置された箱わなに向かい、リュックを背負った人が、右手にライトを持って歩きながら近づいていく。半袖、短パン姿で、腰に上着を巻いていた。

   箱わなのドアは、獲物を捕らえるために上に開けられた状態だった。

   リュックの人は、左手でわなの柵に手をかけると、いきなり右足でドアを蹴り上げた。ガタンという大きな音がして、ドアが一気に閉まる。そして、録画用のカメラを警戒してか、振り返って、カメラ側にライトを向けた。その後は、向きを変え、ライトを持ちながら、来た方向へ戻って行った。

   この30秒の動画は、福岡県内の猟友会メンバーによるXアカウント「とある県下の猟友会」(@k_f_ryoyukai)が2025年11月30日に投稿した。

   衝撃的な映像が反響を呼んで、3万件以上の「いいね」が集まり、ネット上で拡散する騒ぎになっている。

   この箱わなは、県内のある町が、イノシシを捕獲するために2年前に設置した。地元猟友会に管理などを業務委託している。

   町の担当課や猟友会メンバーがJ-CASTニュースの取材に答えたところによると、この箱わなは、8月29日と11月2日、何者かによってドアが盗まれた。「カメラ撮影中」と現場に看板も立て、何度も警告をしたが、今度は、今回のようにドアを勝手に閉める被害に遭ったという。メンバーは、「同じ場所のわなに対しての嫌がらせなので、ドアの窃盗も同一犯と思われます」との見方を示した。

   箱わなに盗難防止ワイヤーをつけたために、今回の行為をされたのではないかという。ドアは重く、2人で持つのがやっとだといい、車などを利用した複数犯とみている。

山登りする人がクレーム「目障りだ」「景観を壊す」「見苦しい」

   実は、この箱わなについては、24年3月と4月にそれぞれ別の高齢者男性がドアを閉める様子がカメラに映っていたとして、猟友会メンバーが動画をXで投稿している。

   3月のときは、動機などは不明なものの、猟友会に所属する猟師の男性だったという。この男性は、その後除籍になっている。メンバーは、今回の被害がこれらの行為と関連している可能性もあるとしたが、真相は不明のままだ。

   有害鳥獣用の箱わなについて、町の担当課は、町内の約30か所に設置していると説明した。しかし、様々な意見が寄せられ、撤去したり移動したり対応に追われていると明かした。これらの箱わなドアについては、度々閉められる被害に遭っているという。

   設置場所の近辺は、博多湾が一望できる絶景ポイントがある若杉山、岳城山などに登る人も多く、子どもたちが遠足する姿もみられる。

   猟友会メンバーは12月13日、山登りをする人たちなどからクレームが相次ぎ、町の判断で該当する地区の箱わなをすべて撤去したとXで報告した。被害に遭った今回の箱わなも撤去したという。

   「目障りだ」「景観を壊す」「見苦しい」「子供が触ったら怪我をする」......。メンバーによると、こうした声が寄せられているといい、箱わながないと自らも困ることを想定していないのではないかと苦言を呈した。

   今回の被害について、町の担当課は、箱わなの所有者がはっきりしないため、被害届は出していないとしたが、メンバーは、警察への通報を検討しているという。

   福岡県警の管轄署は25日、取材に対し、「被害届については、把握していません。昨年3、4月にあった被害については、人間的なもめごとのため、捜査はせず警告して終わっています」と話した。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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