YouTuberのヒカルさんが2025年12月19日、実業家・進撃のノアさんとの離婚を発表した。5月、交際期間ゼロで結婚する「0日婚」として話題を集めた2人は、わずか約6か月で破局を迎えた。
「聖人君子でもない実際の自分とのズレに窮屈さ」
2人の結婚は、当初、大きな祝福で包まれた。だが9月14日、ヒカルさんは動画で、配偶者以外の相手との恋愛や性的関係を認める「オープンマリッジ」を宣言。この発表は、視聴者から批判の声が相次ぎ大炎上となり、ヒカルさんのチャンネル登録者数は最高507万人から現在は480万人と、27万人減少するなど大きな波紋を広げた。
離婚報告の動画で、ヒカルさんは「最初から最後まで、僕がずっと掻き乱し続けてちゃぶ台をひっくり返し続けた結果」と自己責任を明言。さらに「0日婚した当初の気持ちと1か月後、2か月後の気持ちは全然別物だった」と、感情の変化を告白した。
結婚後、ネット上で形成された「理想のヒカル像」が膨れ上がり、それが自らの重荷になったという。「聖人君子でもない実際の自分とのズレに窮屈さを感じた」と述べ、YouTubeを最優先にしたいという本心との葛藤が、結婚生活を圧迫していたことが明らかになった。
YouTubeを最優先にしたい生き方
ヒカルさんは動画の入りでよく、「はい、いま緊急で動画回してるんですけど――」という常套句を使う。極端なことをいえば、人生のあらゆる局面がYouTubeを通して存在することになる。離婚発表という人生の重大な決断さえコンテンツ化され「動画のネタ」として消費されてきた。最も衝撃的なのは「子どもも要らない」という発言だったかもしれない。
11月5日配信の動画で、ヒカルさんは親友との対談の中で子どもについて「俺が万が一子供つくったら、俺の一挙手一投足ぜんぶに責任が乗っかってくる」「そんな責任抱えられたら、子供つくれへん。だからもう、子供欲しいとも思わへんもん」と話していた。
ヒカルさんにとって「子ども」はYouTubeを最優先にしたい自分の生き方と矛盾するということだ。ただ、普通の夫婦であれば、結婚生活の問題は家庭内で議論される。だがヒカルさんの場合、それが「動画で親友と語る内容」になっていた。子どもの有無まで視聴者に報告していたわけだ。一方、進撃のノアは結婚直後、妊娠チェックをしていたというのも今となっては悲しい事実である。
ヒカルにとってより深刻なのは、これが「終わりのないループ」になっていることだ。妻との結婚生活よりYouTubeの再生回数が常に人生判断の中心にある「全身YouTuber」ヒカルは離婚発表さえもコンテンツとして消費し、その評価がまた、次の人生の決断を「コンテンツ化」させるきっかけにもなる。
それは彼の強みであり、同時に呪い、呪縛でもある。今回のスピード離婚の真因は人生のあらゆる局面を非公開にせず、動画化してきた彼の「YouTube至上主義」にあるといえるだろうか。
(川瀬孝雄)