「りくりゅう」に失礼な質問、大谷翔平ばかり追い回す 冬季五輪やWBCで懲りないマスコミの無神経な報道

   2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪が閉幕した。アスリートたちが4年間努力を重ねた結果生み出した、極限のドラマに敬意を払う時期である。

   しかし、いま我々の前で繰り広げられているのは、彼らを追うマスコミの醜悪な風景だ。

  • メダルを手にする「りくりゅう」こと三浦璃来選手(左)と木原龍一選手
    メダルを手にする「りくりゅう」こと三浦璃来選手(左)と木原龍一選手
  • 侍ジャパン壮行試合前、打撃練習の準備をする大谷翔平選手(写真:スポーツ報知/アフロ)
    侍ジャパン壮行試合前、打撃練習の準備をする大谷翔平選手(写真:スポーツ報知/アフロ)
  • 「りくりゅう」帰国会見場は、メディアでびっしり埋まった
    「りくりゅう」帰国会見場は、メディアでびっしり埋まった
  • メダルを手にする「りくりゅう」こと三浦璃来選手(左)と木原龍一選手
  • 侍ジャパン壮行試合前、打撃練習の準備をする大谷翔平選手(写真:スポーツ報知/アフロ)
  • 「りくりゅう」帰国会見場は、メディアでびっしり埋まった

スポーツマスコミは、フィギュアスケート以外興味なし?

   今回の五輪で、日本選手団はスノーボードで木村葵来、村瀬心椛、戸塚優斗の3選手が金メダルを獲ったのをはじめ、冬季史上最多24個のメダルを獲得した。

   そのなかでも注目を集めたのは、フィギュアスケートの選手たちだった。

   団体で銀、そして男子シングルで鍵山優真・佐藤駿、女子シングルで坂本花織・中井亜美がそれぞれ銀・銅メダルを獲得。

   そしてペア競技では三浦璃来・木原龍一ペア、通称「りくりゅう」がショートプログラムのミスをフリープログラムで挽回して金メダルを手にした姿は、多くの人に感動を与えた。

   そうして五輪が閉幕した2月24日、東京都内のホテルで行われた日本選手団のメダリスト会見には、多くのマスコミが詰めかけた。

   だが、彼らの質問は「りくりゅう」をはじめとするフィギュアスケートの選手たちに集中してしまった。

   その状況に司会者が「スキー・スノーボード関係にご質問がある方いらっしゃいますか?」と問いかけたものの、手は挙がらなかったのである。

   この状況を観ていた元フジテレビアナウンサーの笠井信輔氏はInstagramで、「同じ取材者としてきつい言葉で言うならば、非常にレベルが低いと思います」と指摘した。

   この翌日、日本記者クラブで開かれた記者会見でも状況は変わらず、「りくりゅう」に対して、

「お二人は、きょうだいにも友人にも夫婦漫才にも見える、何が正解なんでしょうか」

と、暗に「二人は付き合っているのか」という失礼な質問が飛んだ。

   これはジャーナリズムではなく、単なる下世話なのぞき見趣味への転落としか言いようがない。

メダリストを「ランク付け」したテレビ企画

   とくに、その傾向が強く見られたのは地上波のテレビ局だった。

   会期中から、選手たちは競技直後から日本のテレビ局が現地に設営した「特設スタジオ」をスタンプラリーのように行脚させられた。

   そして帰国すれば、一部の注目選手はテレビのスタジオで、笑顔を振りまかねばならなかった。そこで語られるのは競技の話よりもプライベートの話題が中心だった。

   同じメダリストであっても、人気競技か否か、あるいは「番組で使いやすいキャラクターか、話題性があるか」によって、その扱いは天と地ほどの差が出た。

   これでは、アスリートたちへの敬意が希薄だととられても仕方がない。

   その下心が見え隠れしたのが、2月23日放送の『くりぃむしちゅーの!THE☆レジェンド』(日本テレビ系)だった。

   そこで行われたのは、各国の記者123人に「世界を魅了した日本のメダリスト」を聞き出して15位までのランキングにするという企画だ。

   スタジオに参加した選手はすべて選出されたが、ほかにも印象的な活躍をした日本人選手がいたはずなのに、選外となっていたのである。

   アスリートたちが4年間にわたって行ってきた、血のにじむような努力を無視するような無神経な企画に、SNSを中心として多くの非難が殺到した。

そして繰り返されるWBCの大谷ハラスメント

   この無神経な報道姿勢は、3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を前にさらに加速している。

   2月27日には、中日ドラゴンズとの強化試合のため、帰国したロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が現れた。

   名古屋市のバンテリンドームを訪れると、午後のワイドショーでは「大谷、バンテリンドームへ」と大々的な報道を行った。

   ほんの一瞬、大谷が映るとスタジオ内のアナウンサーは歓声をあげ、彼の着ているジャケットのブランドは何かなど、野球とは関係のない話題で盛り上がった。

   大谷に興味がある視聴者が大勢いるから、大谷のことなら何が何でも報じるのだ、ということなのだろう。

   だが、それならば何でもいいのか。他の選手たちはどうでもいいのか。視聴者が欲しがるものだけを、欲しがる分だけ、無批判に供給するのがメディアの役目なのか。

   こうした大谷中心の報道から、かつて「大谷ハラスメント」という言葉が生まれているにも関わらず、テレビ局は反省することなく同じことを繰り返しているようにしか見えない。

   こうした無神経な態度には、視聴者こそが毅然と「NO」を突きつけるべき時ではないだろうか。

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