坂本予算委員長の強硬采配で突破した衆議院、高市首相を待ち受ける少数参議院と、何を要求されるか分からないトランプ会談

   2026年度当初予算案は今世紀最短のスピード審議で衆院を通過、2026年3月16日から参議院予算委員会の審議が始まった。衆院予算委員会では2週間で審議を打ち切るなど与党側の強硬姿勢が目立ったが、その先頭で采配したのが坂本哲志・予算委員長である。3月13日のBS-TBSの「報道1930」では、この「坂本職権」について政治記者からの批判が出た。

  • 2026年度当初予算案は今世紀最短のスピード審議で衆院を通過した
    2026年度当初予算案は今世紀最短のスピード審議で衆院を通過した
  • 高市早苗首相(2026年2月撮影)
    高市早苗首相(2026年2月撮影)
  • 2026年度当初予算案は今世紀最短のスピード審議で衆院を通過した
  • 高市早苗首相(2026年2月撮影)

「委員長職権」を16回も連発して「強行突破」

   過去最大の総額122兆円の新年度予算案の審議は「異例」続きだった。高市早苗首相の突然の解散のため1か月遅れの2月27日に始まった予算委員会は、間もなく「3月13日採決」方針が自民党側から示され、坂本予算委員長は日程などを決める「委員長職権」を野党の反対を振り切って16回も連発、最短採決を決めた。

   3月13日のBS-TBSの「報道1930」では、この「坂本職権」について、毎日新聞元政治部長の佐藤千矢子氏は、「高市首相は強硬路線を貫きたかったんでしょう。坂本委員長は官邸の下請けのようでした」と批判した。朝日新聞元政治部長の林尚行氏は「予算委員長は本来、与党と野党の『行司役』であるべきなのに、今回の経緯は検証されなければ」とした。「もともと坂本さんは、上の人の言うことを実現しよう、と動くタイプだといわれています」と、その人柄も語った。

   坂本氏は石破茂政権当時の国対委員長で、少数与党での森山裕幹事長の下では、野党との粘り強い交渉に汗をかいた。

「最短決着」の評価、朝日と日経では分かれる

   坂本委員長の「采配」に対し、野党4党は「後世に恥ずかしい歴史を刻んだ」(小川淳也・中道改革連合代表)として解任決議案を提出(否決)したのに対し、自民党は「旧態依然とした日程闘争」(渡嘉敷奈緒美議員)と批判。新党みらいは「予算委員会の審議の質と委員会運営の公正さが問われている」(高山聡史幹事長)と指摘した。

   今回の、衆院予算委員会の「最短決着」をめぐっては、新聞の評価も微妙に分かれた。

   朝日新聞は、14日朝刊の1面トップで「審議圧縮 予算案通過 衆院、与党が強硬姿勢」として、2面では「強気の首相 強引な審議」「高市一強に自民沈黙 唯々諾々(いいだくだく)と」批判的だったのに対し、日経新聞は同日付5面で「『脱慣例』の予算審議」「熟議と効率 均衡点探る」と冷静に伝えた。前文のなかで、「質疑時間や首相答弁を重視する国会の慣例を破るきっかけになった」とも指摘した。

「高市さんは、国会答弁があまり得意でない」

   「報道1930」では、高市首相の「答弁能力」への言及もあった。毎日新聞の佐藤・元政治部長は言う。

「高市さんは、あまり得意でないこともあって。答弁回数を少なくしたい、とずっと考えていた。安倍晋三さんや石破茂さんたちは、多く答弁していたが、それ以前の総理はあまり答弁しなかった時代があり、その時代に戻そうとしていた」

   少数与党の参院では、簡単にはいかない。「慣例の日程を踏襲するのか、真の熟議が実現されているのか」も問われている。

   参議院の予算委員会の審議が始まって間もなくの19日には、日米首脳会談がある。朝日新聞の林・元政治部長は「当意即妙のやりとりが、あのトランプ大統領とできるのか、懸念を持つ人は特に自民党内に少なくない。会談が終わった後の予算委員会で、事実関係が明確でないから(米国が国際法違反かどうか不明)とは、もう言えない。どう答えるのかは難しい」と指摘する。トランプ氏は、日本などに、ホルムズ海峡周辺への船舶派遣を求めている。

   高市首相には、この先、いくつもの難関が待ち受けている。

(ジャーナリスト 菅沼栄一郎)

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