高齢の親のスマホ料金を久しぶりに確認したところ、思っていたよりも高額になっていた。こうした相談が、家計相談の現場では少なくない。「安くなると聞いた」「少し見てもらっただけ」というケースでも、後日確認すると想定外の金額になっていることがある。なぜこのようなことが起きるのか、今からでも解約できるのか、相談事例をもとに、FP(ファイナンシャル・プランナー)が解説する。「安くなるはずだったのに」月3000円台が1万円超に家計相談の現場で「ちょっと見ていただけますか?」と言って娘さんが差し出したのは、70代の母親のスマホ料金の確認画面だ。表示されていたのは、月額1万円を超える金額。それまでの支払いは月3000円台だったのが、わずか数日のうちに「スマホ代」が大きく増えてしまっていた。母親に事情を聞くと、「料金が安くなると聞いたから、見てもらっただけ」という。買い物のついでに立ち寄ったショッピングモール内の携帯電話会社の店舗で声をかけられ、「今のプランはもったいない」「この機種なら安心」と説明を受けた。専門用語も多く、内容を十分に理解できないまま、「お任せします」と手続きを進めてしまった。契約内容を確認すると、新しい料金プランへの変更に加え、最新機種の分割代金が毎月上乗せされている。さらに動画配信サービス、端末補償、セキュリティ対策、遠隔サポートなど、複数の有料オプションも付いていた。母親は「必要だと言われた」「みんな入っていると言われた」と振り返る。断るのも申し訳ないと思い、その場で判断してしまったという。娘さんは「本当にここまで必要なのか」「今からでも止められないのか」と不安を抱え、相談に来たのだ。こうしたケースは決して珍しくない。説明を十分に理解しないまま契約が進んでしまうことが背景にある。(※プライバシーの観点から内容を一部脚色)店頭契約でまず知っておきたい注意点まず確認したいのは、「どこで契約したか」だ。自宅に来てもらって契約した場合などは、一定期間内であれば解約できる「クーリングオフ」制度が適用されることがある。一方で、店舗で自ら契約した場合は、原則としてこの制度は使えない。ただし、スマホの通信契約には、契約書面を受け取った日から8日以内であれば解除できる「初期契約解除制度」という仕組みがある。しかし、対象は通信サービス部分に限られ、端末代金や事務手数料などは別になることがある。また、月額が高くなっている原因は、基本料金よりも有料オプションであることが少なくない。動画配信サービスや補償などは、あとから解約できる場合もある。まずは「何にいくら払っているのか」を確認することが大切となる。家庭内で簡単なルールを決めておく今回のようなケースでは、感情的に責めるのではなく、まず事実を整理することが大切だ。契約内容を確認し、解除できる制度が使えるかを確認したい。迷った場合は、消費生活センターに相談する方法もある。また、再発防止のためには、高額な契約はその場で決めない、契約前に家族へ連絡する、毎月の請求額を家族で確認するなど、家庭内で簡単なルールを決めておくこともおすすめだ。スマホは生活に欠かせない存在だが、内容を理解しないまま契約すれば、家計への負担は大きくなる。制度を知り、請求内容を確認することが家計を守る第一歩だ。【プロフィール】石坂貴史/証券会社IFA、AFP、日本証券アナリスト協会認定資産形成コンサルタント、マネーシップス運営代表者。「金融・経済、住まい、保険、相続、税制」のFP分野が専門。
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