国会議事堂正門前で2026年3月28日、「#オタクによる反戦デモ」が実施され、およそ2000人が集結。漫画家や脚本家、ミュージシャンなどのクリエイターたちとともに、オタク文化を愛する人たちが、イランに攻撃するアメリカとイスラエル、さらには改憲に意欲的な姿勢を見せる高市早苗首相に対する抗議を行った。
人気バンドのボーカルからのメッセージ届く
冒頭、今回のデモを主催した高橋裕行さんは「クリエイターのみなさんが戦争反対を訴えているのを見て、もしかして僕らオタクがバックアップしていけば大きな流れを作れるんじゃないかなと」と開催理由を説明。「我々オタクは平和を愛します。平和でなければオタクの活動はできません。だから絶対に戦争は反対です」と訴えた。
アニメプロデューサーとして『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』『シティーハンター』などを手掛けてきた植田益朗さんは「『戦争反対』とSNSで書いただけで、クレームが来たり、何かいじめに遭うような状況は本当に考えられません」と現状を嘆く。また、戦争中は国民の戦意高揚のアニメが制作されていた背景に触れ、「そういう形でアニメが利用されるのは私共の思いとは違います。そういう時代にならないためにも、今日ここで声を上げていきたい」と語った。
漫画『キミのお金はどこに消えるのか』(KADOKAWA)などの作者で漫画家の井上純一さんは、「世界中から戦争がなくなりますように」と記されたイラストをXに投稿した人気イラストレーター・いなほゆらさんがバッシングを受け、謝罪に追い込まれた事態を話題に出し、「中立のフリをして沈黙を貫く。中立のフリをして反戦を叫ぶのを止めさせようとする。それは戦争を進める側に加担してるんです」と語気を強めた。
また、人気バンド・ASIAN KUNG-FU GENERATIONのギターボーカルを務める後藤正文さんからの「市民それぞれが生活の中で戦争への嫌悪を率直に表すことはとても大事だと思います。僕も僕の場所から僕らしく声を上げたいと思います。戦争反対、憲法改悪に反対します」というメッセージが紹介されると、デモ参加者から大きな歓声が上がった。
参加者がそれぞれの思いを
デモ参加者に話を聞いた。CGアニメーターの40代男性は「イラン側は『ホルムズ海峡を日本のために通す』と言ってくれているのに、高市首相は何もアクションを起こしていません。また、『本当に現政権は仕事をしていないな』という思いがあって、この不満を国会に届けたいと思ったんです」「自民党が掲げた憲法改正草案の中には表現の自由を制限するようなものもあります。やはり表現の自由が規制されると、面白いものがどんどん作れなくなってしまう」と人生初というデモに参加した理由を語る。
研究職の30代女性は「自分の祖父母が戦争体験者で、幼少期から『空襲から生き延びたからあなたの命があるんだよ』ということを聞かされてきました。そして、今回世界各地で戦火が上がり、日本も憲法改正の動きが活発化していて、『こうした状況はまずい』『当たり前の日常が続いてほしい』と思って足を運びました」という。また、今回参加した経緯には、過去の後悔があると話す。「10数年前に集団的自衛権議論に反対するデモがニュースでたびたび報じられていましたよね。私はこの時デモに参加できなかったのですが、そのことをずっと悔やんでいました。なので、今回は悔いを残さないためにここに来ました」と口にした。
会社員の40代女性は「デモは『思想の尖った人たちがぎゃんぎゃん言っている』というイメージでした。ただ、SNSでペンライトを振ったりしているデモ参加者のSNSの投稿を見て、『どこにでもいる人が参加してるんだな』『自分でも行っても良いんだ』と勇気をもらい、今月からデモに足を運ぶようになりました」という。「国民のためになることをしてほしい。なかでも、憲法には手を付けないでほしい。本当に平和が一番です」と政府に訴えた。
自営業の50代男性は「アメリカとイスラエルがイランにやっていることが本当に許せません。にもかかわらず、日本のトップである高市首相はアメリカに反発するどころか言いなりじゃないですか。なにより、『このままで私自身も殺されるかもしれない』という危機感も日々募らせていて、声を上げたいなと思いました」とコメント。また、「オタクの人たちのコミュニケーション能力や発信力、表現力に触れることができ、すごく励みになりました」と笑顔を見せた。
子供たちと参加していた会社員の40代女性は「このままでは子供たちの暮らしに迷惑がかかると思ったので」と話し、「『戦争反対を叫ぶことは良いことだよね』『思ったことを言えるような人になりたいよね』と子供と話して、今回子供と一緒に参加しました」と口にした。
SNSではデモ参加者に対して怒号が飛び交う動画がいくつも投稿されているが、この日はそういったことは見受けられなかった。また、3月25日に行われたデモなどでは女性のデモ参加者の割合が高かったことがSNSを中心に報告されていたが、今回は男女比に大きな差はなかった。デモ参加者の年齢層は比較的高いものの、若い人の姿も見られた。
(望月悠木)