利用マナー悪くLUUP解約決意→3か月未満は「違約金10万円」に怒り...ポートオーナーの訴えを弁護士はどうみる

   自宅前のスペースを電動キックボードのシェアリングサービス「LUUP(ループ)」のポートとして貸していたオーナーが、利用者のマナーの悪さを訴えても状況が改善せず、解約の問い合わせをしたところ、申し出から3か月を待たずに解約するには違約金10万円がかかると回答されたと訴える投稿が注目を集めている。

   投稿者や運営するLUUP社に話を聞くとともに、この違約金10万円について弁護士の見解を聞いた。

  • LUUPとLUUPポート(イメージ)
    LUUPとLUUPポート(イメージ)
  • 石井さんが場所を貸していたポートの様子。枠からはみ出して駐車している。
    石井さんが場所を貸していたポートの様子。枠からはみ出して駐車している。
  • LUUPとLUUPポート(イメージ)
  • 石井さんが場所を貸していたポートの様子。枠からはみ出して駐車している。

「ポート周辺にゴミが捨てられることも」

   注目を集めたのは、24年2月からLUUPのポートとして貸し出していたという石井智宏さんのnote記事だ。2026年3月29日に「アコギなLUUP社とのやりとりをまとめました」としてXに投稿すると、拡散され注目を集めた。4月3日時点で1万件の「いいね」が付き、4600件超リポスト(拡散)されている。

   石井さんへの取材とnote記事の内容によると、石井さんはLUUP社の委託会社から「社会的にも意義がある」などと営業を受け、ポートオーナーになる契約をした。電動キックボード3台分で、月3000円を受け取っていたという。

   しかしポート設置後、石井さんは利用者のマナーの悪さに悩まされたという。「枠内に収まらない駐輪、雑な停め方。さらに、ポート周辺にゴミが捨てられることもありました」と、当時の状況を説明した。状況を写真付きでLUUP社に報告し、注意喚起や再発防止を求めた。LUUP社からは「利用者に注意喚起(および罰則適用)をおこなった」と連絡があったが、状況は改善しなかったという。

   こうした経緯から、石井さんは解約したいと考えた。LUUP社に問い合わせると、解約は最短で3か月後になり、「3か月よりも前のお日付で解約をご希望の場合は、違約金として10万円のお支払いをお願いすることになります」と回答があったという。

   この10万円の違約金について、契約書には記載されていたが、口頭での説明はなかったという。石井さんは「電子契約ツールで契約書が送られてきて、締結手続きをしました」と説明した。

「ご契約書にも記載の通り」だが...運営の対応に「強い違和感」

   月額3000円に対して10万円という大きな金額の違約金に石井さんは納得できず、LUUPに10万円の「合理的根拠」と「利用マナーの問題などに対するLUUP側の管理責任」をメールで尋ねた。すると、次のような回答があったという。

「ご契約書にも記載の通り、ご解約の際には、私どもの準備等の都合により、大変恐縮ながらご希望日の3か月前までお知らせいただくことをお願いしております。もし3か月に満たない期間でのご解約になりますと、ご契約時にご同意いただきました内容に沿いまして、所定の解約金が発生いたします」

   具体的な根拠が示されない回答に、石井さんは納得できなかったが、最終的には25年7月に解約を申し出て3か月待ち、10万円を払わずに解約したという。しかし、LUUP運営の対応には「強い違和感」を覚えたと訴える。

「利用者のマナーや現場の問題については改善が不十分なまま、解約の場面になると契約だけが強く適用されるという構造です。運営側の責任は曖昧なまま、個人には契約上の義務だけが厳格に求められる。この非対称性に強い違和感を覚えました」

10万円の違約金、満額支払う義務は?弁護士の見解

   10万円の違約金について、弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士は、「契約書に解約期間3か月の満了を待たずに契約終了する場合は違約金10万円の明記があれば、原則としては有効に扱われます」と説明する。

   口頭での説明がなくても直ちに無効になるわけではなく、「契約書の文言、契約時の状況(文言を確認する十分な時間なしに署名を促されたのかなど)、事業者とのやり取りの記録、改善要請への対応状況の証拠」が重要になるとする。

   ただし、契約したポートオーナーが業者ではなく個人であれば、「消費者契約法」が適用される可能性があり、その場合、「解除に伴う違約金が事業者に生じる平均的な損害(例えば、早急に新たなスペースを探す費用やスペースが見つかるまでの管理費など)を超える部分は、無効となる余地があります」とした。

   また、「月額3,000円の契約に対して違約金10万円という金額差は、少なくとも法的に争点になり得ます」と指摘。

   さらに、「LUUP側が苦情対応や利用者への是正措置に関する法的義務の債務不履行があったと言えるなら、違約金条項の適用自体を争うことができます」と指摘する。しかし、「電動キックボードのレンタル業者に、古物商許可以外の法的規制がない現在、契約書に記載のない苦情対応や利用者の是正措置に関し、どこまでオーナーに対する事業者の法的義務が認められるのかは不透明」とみている。

LUUP側の見解は...「ポート設置の安定的な継続を前提」

   J-CASTニュースはLUUP社に、石井さんとのやり取りなどについて尋ねたが、「ポートオーナー様との個別の契約内容や協議の経緯につきましては、回答を差し控えさせていただきます」とした。

   そのうえで、契約については「ポート設置契約の締結にあたり、全てのポートオーナー様に契約書面をご提示し、内容についてご確認いただいた上で、ご契約をいただいております」とした。その内容については、次のように説明した。

「LUUPは多くの場合日常的な移動手段として利用されており、利用者の皆様への安定的なサービス提供を維持することが重要と考えております。そのため、ポートオーナー様との契約内容を含む運営形態につきましては、ポート設置の安定的な継続を前提とさせていただいております」

   また、ポート周辺での利用マナー等について指摘があった場合には、「現地確認や看板設置、必要に応じた巡回強化など、個別案件ごとに迅速な対応を講じております」と説明。そのほか交通安全対策として、「交通ルール遵守の啓発活動」、「悪質な利用者への厳格なアカウント凍結措置」、「アプリ内での注意喚起」、「警察との連携強化」等も実施してきたとする。

   LUUP社はポートオーナーについて、「新しい都市インフラを共に創る大切なパートナー」との考えを示し、「契約締結時のより丁寧な説明を含め、ポートオーナー様に引き続き安心してご協力いただける体制を維持・強化」したいとした。

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