大阪などで利用されている自転車の傘スタンドについて、大阪府警が利用者を次々に呼び止める映像がテレビニュースで流れ、驚きの声が上がっている。
2026年4月から青切符制度が始まり、反則金も取られるのではないかと声も漏れている。あるメーカーは、「販売や使用に違法性はない」との見解を示しているが、今後の対応について、府警に取材した。
傘スタンドの使用は、3つの違反可能性がある
傘スタンドとは、ハンドルに着けたアームに傘を固定し、傘を開いたまま走るタイプを指す。傘ホルダーとも呼ばれている。
愛知県清須市内のメーカー「ユナイト」が製造・販売する「さすべえ」などの商品があり、大阪の主婦層を中心に愛用者が多いとされる。
4月1日から青切符制度がスタートし、各自治体警察が傘差し運転などの取り締まりに乗り出した。大阪では、雨の中で、さすべえなどに傘を立てて歩道などを自転車で走る女性らが府警の警察官から次々に呼び止められる映像がテレビニュースで紹介された。
ある女性は、警察官に気づき、「今日から、これですよね」と言ってハンドル付近に固定した傘を閉じ、「すいません、存じてます」と謝っていた。女性らが青切符を切られたかどうかは、映像だけでは分からなかった。
この画像がX上で投稿され、愛用者も多い傘スタンドもアウトなのかと問いかけられた。この投稿は、反響を呼んで、4万件以上の「いいね」が集まっている。様々な意見が寄せられ、「前からダメじゃなかったっけ?」といった声のほか、「さすべえは許してあげてほしい」と愛用者に同情する向きもあった。「今日から、『さすべえ』あかんらしい」「適切にさすべえ使っても前が見えなかったらアウトみたい」との書き込みもあり、相異なる情報も流れていた。
大阪府警の公式サイトによると、「傘スタンドを使用しての傘さし運転」について、片手運転ではないものの、運転者の視野を妨げたり不安定な積載をしたりしてはならないとする道交法の第55条第2項の違反になる可能性がある。
また、通行人に傘が接触するなどの危険行為が起きて、道交法第70条(安全運転義務)違反になる可能性があるとした。
さらに、傘の幅が30センチ、高さが2メートルを超えると、積載の制限を定めた大阪府道路交通規則の第11条第4号に違反する可能性もあるという。ただ、ほとんどの傘は、広げると30センチ以上になってしまう。
「すべてにまず指導・警告が入ります」
大阪府警では、「傘スタンドを使用した自転車の運転は、風を受けた際に安定を失うおそれや周囲の状況が見えなくなりますので、危険です!」と呼びかけている。
一方、さすべえメーカーのユナイトでは、「さすべえ禁止はまちがいです!!」と強調した文書を公式サイト上に掲載し、販売や使用について、違法性はないと主張している。歩行者に配慮さえすれば、その使用は禁止されていないという。青切符導入後の状況については、J-CASTニュースが4月6日から同社に取材を申し込んでいる。
さすべえとともによく使われているのが、大阪市内の釣り具メーカー「第一精工」が製造・販売している「かさキャッチ」だ。同社の担当者は7日、道交法などの違反に問われる可能性があるとしながらも、取材にこう話した。
「青切符導入の以前に、大阪府警に確認したところ、『直ちに取り締まりの対象にはならない』との回答をいただきました。強風下で使ったり極端に大きな傘を差したりして、危険な運転と判断したら取り締まるとのことでした。青切符導入で道交法や規則は変わっていませんが、導入後に警察から利用者が注意されているとのニュースを見て、困惑しています。様子を見ながら引き続き情報収集に努めており、お客様にはくれぐれも安全に留意してほしいと呼びかけています」
傘スタンドについて、大阪府警の交通総務課は同日、青切符導入による影響について、取材にこう説明した。
「3つの違反の可能性は、現在も当てはまります。すべてにまず指導・警告が入ります。それを無視した場合は、切符を切ることになります。悪質な違反は検挙できることになっており、現場で危険と判断されれば、反則金の支払いを求められる恐れがあります。ケースバイケースで対応しています」
傘スタンドの販売については、規制する法律はなく、違反ではないとした。
ただ、使用については、周囲の状況によっては危険だとして、控えるように呼びかけていると明らかにした。
「風が強かったりするなど、状況次第で違反になる可能性があるため、気を付けてほしいと思っています。取り締まりの対応については、これまでと変わりません。今後、厳しくするという話にはなっていませんが、事故などが減らなければ厳しくなります。指導・警告をすれば、大概の方は守っていただいており、正常化すれば厳しくする必要はありません」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)