日本人の生活の満足度は一進一退 世界の幸福度ランキングでは61位、日本には何が足りないのか

   あなたは現在の生活にどの程度満足しているだろう。内閣府が2025年にインターネットで行った「満足度・生活の質に関する調査」では、15~89歳の約1万人が0点から10点で回答し、平均の生活満足度は5.79だった。これは高いのか、低いのか。 副題を「我が国のウェルビーイングの動向」とするこの調査は7回目。生活満足度のスコアは「一進一退の動き」をみせているという。

  • 日本人の生活満足度は一進一退の動きをみせる(画像はイメージ)
    日本人の生活満足度は一進一退の動きをみせる(画像はイメージ)
  • 内閣府「満足度・生活の質に関する調査」(2025年)より作成
    内閣府「満足度・生活の質に関する調査」(2025年)より作成
  • 内閣府「国民生活に関する世論調査」(2025年)より作成
    内閣府「国民生活に関する世論調査」(2025年)より作成
  • 内閣府「国民生活に関する世論調査」(2025年)より作成
    内閣府「国民生活に関する世論調査」(2025年)より作成
  • 日本人の生活満足度は一進一退の動きをみせる(画像はイメージ)
  • 内閣府「満足度・生活の質に関する調査」(2025年)より作成
  • 内閣府「国民生活に関する世論調査」(2025年)より作成
  • 内閣府「国民生活に関する世論調査」(2025年)より作成

「身の回りの安全」は高いが「子育てのしやすさ」が落ちている

   13の分野別にみると、満足度の高い分野は「身の回りの安全」(5.80)、「自然環境」(5.74)など。低い分野は「政治・行政・裁判所への信頼性」(4.37)、「介護のしやすさ・されやすさ」(4.82)などが並ぶ。「子育てのしやすさ」のスコアは前年の5.30から5.18に落ちこんだ。

   調査は、人生の充実感や社会との信頼関係についても10点満点でたずねている。「充実した人生を送れている」は5.54。社会の懐の深さをみる「人と違うことを言っても受け止めてもらえる」は5.0と低かった。

生活の見通し「悪くなっていく」が「良くなっていく」の3倍以上

   ウェルビーイング向上を助ける「サードプレイス」についても質問したところ、半数近くが「ある」と答えた。サードプレイスとは、家庭や職場・学校以外の場所で人々が自由に交流し、リラックスできる第三の居場所。具体的には「カフェ・喫茶店」「図書館・書店」が多く、「公園など屋外」「サウナ・温泉施設」「映画館」も人気があった。

   このネット調査の満足度5.79に対し、郵送法で2025年8~9月に行われた内閣府世論調査(2938人回答)では、「満足」50%と「不満」49.7%に二分された。「不満」はとくに所得・収入の面で高く、7割近くを占めた。また、今後の生活の見通しについては「悪くなっていく」(30.5%)が「良くなっていく」(8.6%)の3倍以上にのぼった。物価高や不透明な国際情勢が不安の影を落としていることがうかがえる。

高度成長しながら生活満足度が長期にわたって伸び悩む

   「イースタリンのパラドックス(逆説)」という理論がある。「国の所得増は、必ずしも幸福度の向上につながらない」というものだ。戦後、高度成長しながら生活満足度が長期にわたって伸び悩む日本は、この逆説の典型例とみなされている。

   こうした満足度の伸び悩みは国際的な幸福度ランキングにも表れている。2026年版の「世界幸福度報告書」で日本は61位になり、前年の55位から順位を6つ落とした。ちなみに1位は9年連続でフィンランド。日本の生活満足度の改善には、経済だけでなく、社会への信頼や交流の場、そして多様な価値観を受け入れる包容力といった、より広い視点からのアプローチが求められているといえそうだ。

(ジャーナリスト 橋本聡)

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