メンズ地下アイドルへの過激な「推し活」問題 多額の金を貢いで...「沼」から抜け出せなくなるファン心理

   過激な推し活が問題視されており、その中でも挙げられる事例が多いのはメンズ地下アイドル(略称:メン地下)の応援だ。専門用語としてライブは「現場」と呼ばれ、特典会という名のチェキ撮影に女性たちが大金をつぎ込む。

   落とす金額は1万、2万とかのカワイイものではなく、どっぷり「沼って」いると、数百万円の出費も当たり前だとか。その他にも、クラウドファンディング、差し入れ、配信などに精を出せば天井はない。実際にバースデー企画でクラウドファンディング数千万を集めた演者も現れ、メン地下界隈では大量の札束が飛び交っている。

   足繁く通うだけならまだしも、生活の全てを推し活に染め上げると周りが見えなくなりやすい。金策に走るおろか「駆けずり」回って、危険なゾーンに飛び込む女性も今は増えていると聞く。

  • メンズ地下アイドルへの過激な「推し活」問題とは(写真はイメージ)
    メンズ地下アイドルへの過激な「推し活」問題とは(写真はイメージ)
  • 筆者のたかなし亜妖さん
    筆者のたかなし亜妖さん
  • メンズ地下アイドルへの過激な「推し活」問題とは(写真はイメージ)
  • 筆者のたかなし亜妖さん

メン地下はなぜ、お金がかかるのか?

   グループや個人によって設定金額は異なるが、だいたいチェキ2000円前後、300~500人キャパのライブハウスならチケット代3500円が相場といえるだろうか。

   数字だけを見ればあまり大金が必要ないように思えるものの、チェキ1枚のみで推しメンと話せる時間などたかがしれている。挨拶をしたら終わってしまうくらいに短く、人気メンバーなら顔を覚えてもらうことさえ難しいだろう。特に熱量の高いファンに支えられる演者だとチェキ1枚では空気的に気まずく、人によってはいい対応をされないなんて話さえある。

   「ファンを平等に扱えない演者なんて推すのをやめろ」というツッコミはさておき、推し活をする人は多少なりとも意中の相手から「認知」を求めるからこそ、足繁く現場へ行く。そして、最大限の応援をしたい気持ちが強まれば落とす金額が増え、特に接触(=特典会)がウリのメン地下では「お金を使うのが当たり前」という周囲の波・圧力に飲まれてしまうのだ。

   基本的に地下界隈はライブの本数が多く、TikTok撮影会という一緒に動画を撮れる有料イベントも開催される。規模があまり大きくないグループは物販でのポイントカード特典として「プリクラ同行」や「1時間デート」などファンの魂に火をつけるプレゼントも珍しくはない。ポイントカードを完成させるまでに相当な金額が必要だけれど、そのためにファンはあらゆる手段を使って働く。

   本気で応援すれば上記のごとくお金がかかるため、ファンの夜職率が高いのは容易に想像がつくだろう。飲み屋や風俗などはもちろんのこと、なかには未成年の立ちんぼやパパ活も横行し、見えない場所での逮捕や自己破産という問題も実際に起きている。

   1回の現場で20万、30万円をあっさりと使うファンが多いとなれば、「沼」の深さが知れよう。

非現実だけに溺れないように

   推し活とはある意味、麻薬のようなものだ。行けば行くほどもっとその世界に浸かりたくなる。メン地下は客層が若いことも関係し、破天荒な応援の仕方を取ってしまうファンが本当に多い。

   過激な推し活は社会問題として取り上げられている。「運営側もファンに無理をさせないように注意をすべきだ」という声がある一方で、演者もスタッフもファンがいなければ生活ができないという面もあろう。ただ、通い続ける多くの人は感覚が麻痺しがちだ。いくら好きが高じても、人生につまずかないためには自己をしっかりと保つことと、親などの身近な大人が目を光らせることも必要だと思う。

   もっとも、なかには借金まみれになって強制的に推し活を終了させた例も聞くけれど、根っこからズブリとハマった人には「荒療治」でないと目が覚めないのかもしれない。過剰な応援の抑止を考える中で、最も難しい部分であるといえよう。

   推し活とは一種の夢だ。長い夢を見続けたいのなら一瞬の打ち上げ花火でない方がいいのは明らかなものの、盲目的になると自らの手で首を絞めてしまう。正しい判断をするためには推しメン以外の世界をきちんと持つことと、「推しの穴を別の推しで埋めようとしない」のが人生を「詰ま」ない秘訣である。

   推しは夢を見せてくれるだけで生活の面倒までは見てくれない。だからこそハマっても頭の片隅では冷静さを3割くらいは持ち、非現実だけに溺れないようにしたいものだ。



【プロフィール】
たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。

姉妹サイト