プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、33)が、2026年5月2日に東京ドームで防衛戦を行い、挑戦者で世界3階級制覇王者・中谷潤人(M・T、28)を3-0の判定で下し王座防衛に成功した。結果は下馬評通り井上が勝利したが、中谷の健闘も光った。世界的な注目を集めたドリームマッチで、勝敗を分けた要因はどこにあるのか。井上の勝因は?J-CASTニュース編集部は、多くの世界王者を育てたTMKジムの金平桂一郎会長(60)に話を聞いた。「少ない動きの中でも、確実に井上選手にポイントが来ていた」試合は、井上が序盤から主導権を握る展開に。プレッシャーを強め4回までポイントを積み重ねた。挑戦者・中谷は、中盤から圧力をかけペースアップ。8回は攻撃を強めポイントを奪取し、終盤、追い上げた。強打者同士による世界タイトルマッチは、両者ダウンシーンはなく、勝負は判定にもつれこんだ。採点は、ジャッジ2人が116-112の4ポイント差。残り1人が115-113の2ポイント差で井上を支持した。金平会長が注目したのは、井上の滑り出しだ。「井上選手の圧迫の仕方がすごかった」と切り出し、こう続けた。「中谷選手は日頃より、スタンスを広く取って腰を下ろしていたが、中に入っていけなかった。井上選手は、ある程度、これを想定していたと思います。少ない動きの中でも、確実に井上選手にポイントが来ていた。中谷選手は序盤、ある程度のリスクを取っても行かなければならなかったが、井上選手の圧力がそうさせなかった。井上選手の貫禄勝ちだと思います」井上、中谷ともに、この試合前まで32戦全勝で、井上が27KO、中谷は24KOを記録していた。強打を誇る両者の戦いは、KO決着の可能性が高いとみられていたが、ダウンシーンはなく判定までもつれた。金平会長は、井上の勝因についてディフェンス能力の高さを挙げた。「井上はフェイントのかけ方が多岐にわたる」「井上選手は、シンプルにうまい。フェイントのかけ方が多岐にわたる。それとディフェンス能力。前から言われていたのは、オフェンス能力だが、(25年9月の)アフマダリエフ戦以降は、守りに強いという印象がある。他の選手だったら絶対に食らうだろう左ストレートのカウンター、右アッパーをもらわない」そして、井上のボクシングIQにも言及。「すごくボクシングIQが高い。ああいう展開になると、ポイントを相手にあげない。ポイントの取り合いになると、絶対にかなわない。中谷選手がカウンターを狙う。井上選手は、それを分かっている。そして、井上選手がフェイントをかけて、中谷選手から空振りを取る。そこで何かの動きが軽くあったら、井上選手にポイントがいく。ポイントは、相手に渡さなければ自分に来る。試合を支配しているという、リング・ジェネラルシップというものです。ボクシングIQの高い井上選手は、そこを分かっている」注目される次戦は、スーパーフライ級3団体統一王者ジェシー・ロドリゲス(米国、26)、中谷との再戦、フェザー級への転向など、いくつかの選択肢がある。スポーツ紙によると、井上は次戦に関して「少し休んでから、大橋会長、父と今後の対戦相手を決めたい」と語ったという。金平会長は、「いますぐにフェザー級に上げるメリットはないと思います。もう少しゆっくり時間をかけて体を作った方がいいでしょう」との見解を示した。
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