列車後部の乗務員室に男らが侵入し、機器を操作していたとする動画がX上で投稿され、列車を運行する名古屋鉄道(名古屋市)は、従業員らが関わっていたとして、公式サイトで謝罪した。
車掌は、乗務員室を施錠したというが、なぜカギが開けられたのだろうか。防犯対策がどうなっているのかについて、名鉄の広報担当者に取材した。
23年に発覚した事件とは別件だった
「おい! 行こう」。マスク姿で黒いズボンを履いた男が、車両内の前方を確認して、こう合図する。乗務員室の上には、愛知県内の知多新線・内海駅行き特急の表示が出ていた。
すると、乗務員室の前にいた白ズボンの男が、「OK?」と振り返りながら、同室のドアを開けた。
2人が素早く室内に入り、黒ズボンの男がドアを開けたまま押さえる。白ズボンの男は、室内の機器前に立ち、トンネル内に入ると、警笛「ミュージックホーン」がしばらく鳴った。
この動画は、2026年4月30日にXで取り上げられた。これとは別に、動画はもう1本ある。そこでは、2人との関係は不明だが、男が乗務員室内の機器前でペダルを踏む様子が映っていた。踏むと、ミュージックホーンが流れ、室内にいる別の男に指図されて止めるまで、何度かペダルを踏んでいた。
名鉄では23年1月、乗務員室に十代の少年が侵入し、鉄道ファンに人気のミュージックホーンを鳴らした動画が出回ったことがある。報道によると、この少年は、22年夏に愛知県内の名古屋本線を走る特急内でこの行為をしたとして、鉄道営業法違反の疑いで県警に書類送検され、同年3月に名古屋区検が不起訴処分にしている。
今回の動画は、このときのものではないかと指摘されたが、名鉄は26年5月8日、公式サイトのお知らせで、21年夏ごろ、業務時間外に従業員が列車の乗務員室へ侵入するなどの不適切な行為を行っていたと発表して謝罪した。
名鉄の広報担当者は12日、J-CASTニュースの取材に対し、23年に発覚した事件とは別件であると答え、今回の動画で初めて発覚したと説明した。
駅員の知人が何らかの方法で開錠、その後は施錠機能を強化
その説明によると、動画が取り上げられた翌日の5月1日に20代の男性社員から申告があり、乗務員室侵入が分かった。
この社員は、当時駅員をしており、同じ鉄道ファンの知人とその友人の3人が侵入や動画撮影に関わっていた。
1つ目の動画は、知多新線の特急内で14時ごろに撮影され、車掌は、施錠して巡回に出ていたという。知人が何らかの方法でカギを開け、社員は、開錠のアドバイスはしていないという。2つ目の動画は、愛知県内の名古屋本線を走る快速特急で同じ日の20時ごろに撮影されたとした。
室内では、知人が警笛を鳴らしただけで、それ以外の機器は操作しておらず、列車の運行に支障はなかった。
2ケースとも、車掌らは警笛などの異変に気づかなかったという。今回の社員は、「その場の雰囲気に流されてしまい、知人を制止できなかった」として、反省の弁を述べているという。
名鉄では、社員について、「社内規定に基づき、厳正に処分を行う予定です」と述べた。1日には、愛知県警の半田署に相談したことも明らかにした。
23年発覚の事件には、社員は関わっていないというが、乗務員室のカギが開けられていた。名鉄では、この事態を受けて、乗務員室の施錠機能強化を進めていると説明した。セキュリティ上の理由から、機能についてはお答えできないという。また、乗務員室に立ち入らないよう注意喚起するステッカーも車内に貼り出しているとした。事件以降は、乗務員室侵入は起きていないとしている。
愛知県警の半田署は12日、「名鉄から相談を受けており、適切に対処しています。個別の案件ですので、これ以上のお答えは差し控えます」と取材に答えた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)