2026年5月18日深夜放送の『あのちゃんねる』(テレビ朝日系)で、「あのちゃん」ことあのさんが「嫌いな芸能人」として鈴木紗理奈さんの名前をあげた。鈴木さんはSNSで「普通にショック」「いじめやん」と猛反発し、テレビ朝日が異例の全面謝罪、あのさんは降板を宣言し、6月15日に番組終了が決まる急転直下の展開となった。
バラエティの定番トーク
だが、よく考えてみると奇妙な話でもある。「嫌いな芸能人は誰?」という問いかけは、いまやバラエティの定番トークだからだ。
テレビやネットを少し遡ればすぐわかる。
麒麟・川島明さんは2025年10月19日放送の『川島明のねごと』(TBSラジオ)で、『爆笑オンエアバトル』(NHK総合)にトータルテンボスが初出場した回を振り返り「嫌いでした」と告白した。つかみで低音ボイスのあいさつをかぶせてきてウケてしまい、自分たちが落ちたことから、だから最初、トータルテンボスめっちゃ嫌いでした」と苦い記憶を明かしている。
フットボールアワー・後藤輝基さんは25年1月29日放送の『あちこちオードリー』(テレビ東京系)で、品川庄司・品川祐さんについて前に出てくるツッコミに対して「大っ嫌いやった」と三度繰り返した。
くりぃむしちゅー・有田哲平さんは25年7月4日放送の『有田哲平とコスられない街』(TBS系)で、かつてライブの楽屋によく顔を出すほど好きだった爆笑問題・太田光さんが変わってしまったとして、「ああなってからは大嫌い」と暴走キャラに変わってからは苦手と語っている。
企画の作り方で決定的に異なる点が
あのさん自身も今回が初めてではない。25年6月5日放送の『ぽかぽか』(フジテレビ系)で「嫌だったのはベッキーさん」と口にし、「山里さんはうるさい。僕は1言っても100くらい返してきて、それがストレス」とたたみかけていた。
こうした実名告白は、一発屋芸人の全盛期の年収額などと同様、テレビだけでなくネットニュースがとりあげることもあいまって、「実名告白」はバラエティの基本文法になっていった。
ではなぜ今回だけが、番組終了という異例の事態に発展したのか。それは、企画の作り方に原因があった。ほかの「嫌いだった」発言が笑い話や業界内の武勇伝の中で飛び出たのとは決定的に異なる点がある。
問題の場面はサッカーゲームの一環で、味方が放つセンタリングを受けながら質問に答えてゴールを決めるという形式。トップバッターのあのさんに、オズワルド・伊藤俊介さんがセンタリングを上げながら「ベッキーの次に嫌いな芸能人は?」と問いかけた。これに対し、鈴木紗理奈さんの名前をあげてボールを蹴り込もうとしていた。
平場のトークで名前が出るより、ゴールの瞬間に絶叫とともに実名が飛び出す構造は視聴者へのインパクトが段違いだ。それだけに鈴木さんが受けたショックも大きかったといえる。
実名告白ブームは今後どうなるか。なくならないだろうか。でもそれが、いつかまた誰かの足元をすくうことになるのだろうか......。
(川瀬孝雄)