高市早苗首相は2026年6月5日の参院予算委員会で、自身の陣営が自民党総裁選などで対立候補を中傷する動画を作成したとする週刊文春の一連の報道を巡り、同誌に「抗議」しない理由を説明し、議場から拍手が起きる場面があった。
高市氏「あのような音声をもとに判断することは難しい」
週刊文春は4月29日付の記事で、25年秋の自民党総裁選期間中に、小泉進次郎衆院議員や林芳正衆院議員を中傷する動画がSNS上に投稿され、こうした動画を高市陣営が作成していたと報じた。一方で、高市氏側は関与を否定しているとも記している。
その後も同誌は中傷動画の作成・拡散疑惑を報じ続けた。文春オンラインで公開された6月3日付の記事では、高市氏の公設第一秘書と、動画を作成したとされる人物らが25年12月に開いた「Zoom会議」の音声を公表した。
4日の衆院予算委では、この音声が公設秘書本人かどうか、中道改革連合・伊佐進一衆院議員や同党・長妻昭衆院議員が追及。だが高市氏は「会議音声」を聞かず、文字起こしで内容を把握する場面があった。
翌5日の参院予算委でも、立憲民主党の岸真紀子参院議員が改めて質問。高市氏は音声を確認したと明かしたが、「秘書本人かどうか、あのような音声をもとに判断することは難しい」と回答。さらに音声について、「私と会話している時よりも、かなり高い声でハキハキと喋っていったので違和感があった」と述べた。
高市氏「そういうことに時間を使っている暇はない」
その後、立憲民主党の塩村文夏参院議員が質疑に立ち、週刊文春の報道について「捏造ということでよろしいでしょうか」と質問。高市氏は「私が認識している事実は違うと申し上げます」と答えた。
これに対し、塩村氏が「捏造とは言い切れないということでよろしいでしょうか」と重ねて聞くと、高市氏は「捏造という言葉を使うかどうかは別として、私が認識している事実とは違うということです。これまでも当該週刊誌には全く事実と違うことを何度も書かれてまいりました」と述べた。
塩村氏は、高市氏の答弁に対し「違和感がある」と指摘。塩村氏自身が週刊誌に書かれた際には、弁護士とともに事実と異なることを指摘して抗議したと説明した上で、「今回、国会質疑でこれだけ取り上げられていて、疑念が広がっているので、抗議をしっかり行うなど検討されていないのか、お伺いしたいと思います」とただした。
高市氏は、過去には週刊誌側に弁護士とともに抗議文を送り、訴訟したこともあると振り返った上でこう語った。
「何の効果もなかったです。時間と労力を使い、本当に大変な負担を負い、最後『和解金で何とかしてくれ』と向こうから言ってこられても、訂正記事が同じスペースで掲載されるわけでもないです。名誉の回復もなされません」
そして「いま私は日本国を背負って国家経営に取り組んでおります。本当にそういうことに時間を使っている暇はない、そういう思いでございます」と続けると、議場からは拍手が起こった。
これを受け、塩村氏は「しっかりと事実と違うということを示さなければいけないと思います」と指摘。岸氏が第三者委員会を入れた調査を行うよう求めたことにも触れ、「事実をしっかりと国民に示していただきたいということを要望しておきたい」と訴えた。