北朝鮮に渡った弟は、切手の裏に「くるべからず」と書いた 帰国者50人の証言集刊行、早大で記念シンポ

兄と「切手の裏に本当のことを書こう」と約束

   もう一人が梁(リャン)敏雄さん(45年生まれ)。60年、日本に残った兄と「切手の裏に本当のことを書こう」と約束して北朝鮮に渡った。現地での生活は苦しく、65年頃に兄に送った手紙の切手の裏には「くるべからず」と書いた。

   梁さんは現地の様子を

「地上の楽園どころか地獄に行った」
「あそこは人の住む国じゃない」
「向こうの人はすぐ、歓迎したらハグしてくる。汗臭い、ホコリ臭いので嫌だったけど、1年後、俺たちもそのザマになった。乞食みたいな生活になった」

などと表現。そんな中でも良い思い出として言及したのが、帰国者コミュニティーでの交流で、

「お互いに混ざり合って、昔話したり、歌を歌ったり踊ったりするのが楽しかった」

と話した。

   梁さんは北東部の中国との国境に近い会寧(フェリョン)市の炭鉱で勤務し、2006年に脱北した。

   書籍の取材・編集の中心的役割を担ったアジアプレスの石丸次郎氏は、書籍が「北朝鮮の民衆の暮らし、生活史」でもあると指摘。その意義を

「ここから想像していただきたいのは、北朝鮮で2000万を超える民が苦難の中に今もいる、こういう生活を60年代、70年代からやってきたんだと......それを知っていただく材料になれば」

と話した。

(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)

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