米スペースX社が提供する人工衛星経由の高速インターネットサービス「スターリンク」の軍事利用のあり方が、2026年6月25日の参院防衛委員会で話題になった。
言及したのは、日本維新の会の松沢成文参院議員。ロシアがスターリンクを「闇利用」していたが、後にスペースXが利用を制限したことで、ロシアの前線は混乱したという。松沢氏は「ロシアざまあみろ、という感じ」とする一方で、自衛隊が「外国事業者の商用サービスに依存する場合」の対応について質問した。
委員会でのやり取りは次の通り。
民間サービスの状況が部隊運用そのものを左右しうる
松沢成文参院議員: 私ですね、スペースXの問題が非常に気になるんですよね。この法案(編注;防衛3文書改定)でも、宇宙作戦集団を構成する部隊として、民間力を活用する「宇宙支援隊」を新設するとされていまして、防衛省は衛星コンステレーション等の、商用サービスの運用も進める方針であります。
このウクライナ戦争では、あのイーロン・マスクが作ったスペースXが提供するスターリンクが、ウクライナ軍、政府の通信を支える一方、ロシア側も第三国経由で端末を密輸して、前線部隊と指揮所の連携、偵察、攻撃ドローンの遠隔操作や、あるいは、映像電送に、闇利用してたんですね。
その後、ウクライナ政府と、アメリカからのプレッシャーもあったんでしょう。このスペースXが、正規端末のみ接続を認める運用を厳格化して、未承認端末を排除した結果、ロシア軍がドローンの運用が困難となり、前線通信にも大きな混乱が生じたと......。こういうことがありました。
私はウクライナを応援してますから、そういう意味では、「ロシアざまあみろ」という感じなんですよ。ただこれね、民間を使うとこういうこともあるという事例なんですよね。有事において、商用衛星通信の利用可否が一企業の技術的措置や相手方の妨害に左右されて、部隊運用そのものを左右しうることを示す事例だと思います。
そこで質問です。我が国が、外国事業者の商用サービスに依存する場合、有事における利用継続をどう担保し、そして代替手段、高堪性(こうたんせい、攻撃を受けた際でも速やかに回復できる能力)、自律性をいかに保護するのか防衛大臣の見解を伺いたいと思います。
商用サービス利用しつつ「妨害に強い次期防衛通信衛星を整備」
小泉進次郎防衛相: 今、先生ご指摘の通り、ロシアによるウクライナ侵略では、アメリカのスターリンクなどの民間衛星が戦場における通信が、情報優位を左右しています。ウクライナはこれにより迅速な攻撃が可能になると同時に、スターリンクの通信障害の際には前線部隊の通信に影響が発生する事例も見られている、これは先生が言われた通りです。
これらの点を踏まえまして、防衛省としては民間通信衛星の利用を含め、多層的で高堪性の高い衛星通信ネットワークを我が国においても構築していくことが必要であると認識をしています。
このため、進展著しい商用サービスも柔軟に取り込みつつ、妨害に強い次期防衛通信衛星を整備するとともに、多国間で衛星通信帯域を柔軟に共有する枠組み、これはパッツ(PATS(Protected Anti-Jam Tactical. SATCOM))という風に言いますけども、このパッツも活用するなど、しっかりと取り組んで参ります。