兵庫県の有名歓楽街で2026年6月に女性従業員と客とみられる男性が血を流しているのが見つかり、その後、二人とも死亡が確認される事件があった。2023年にも東京台東区・吉原で指名客にキャストが刺殺される事件が起きている。相次ぐ歓楽街でのトラブルは、なぜ発生するのだろうか? その背景とトラブルを未然に防ぐ方法とは――。熱が入る客と「仕事」を全うする女性たち問題と考えられるのは、水商売は客との距離が近いことだろう。熱心に働くキャストは客との連絡先の交換が当たり前で、店の外でもコンタクトを取れる。利用者にしてみれば、連絡先を知れば距離が近づいたような気がするものの、キャストにすれば、どこまでいっても仕事となる。利用者は娯楽目的で、もてなす側は「仕事」。お互いの立場は対等ではなく、キャストと店は利益を追うために満点のサービスをする。金を使えば使うほど往々にして想いが深くなり、気持ちが暴走すると誰にも止められない。でも、キャストは売り上げのために、時に我慢を強いられる。2人の関係が長続きするほど両者のバランスをうまく保つのが難しくなり、水商売での「完全防衛」は一生の課題となろう。客も褒められても真に受けるのは6~7割くらいにして、店の外を出れば忘れるくらいのマインドを持たねばならない。だいたいのめり込む男性はキャストと客が結婚した、付き合ったなどの情報を鵜呑みにして夢を見がちだ。が、実は「付き合った」でさえ営業の1つだったりする。ナイトワーカーの取材を重ねると、「指名客と付き合っている設定」でデートは店内だけ、外では一切会わないというプロ級のサービスをする女性もいる。水商売とは「そういう世界」なのである。常識の外にある世界でリアルなものは持ち込まず、店=夢の国くらいに思っておくべきなのだ。夢の国は残念なことに、全てがまやかしなのだから使った分だけ返ってくるというのは、大きな間違いなのである。キャストも指名客に対し無理な引っ張り方をせず、危険を感じた時点で何らかの処置をして、トラブルを未然に防いでいくことが大事だ。水商売は形のないものを売るため、客とのハッキリとした線引きが難しい。おまけに受け取る側の考えが十人十色となると、まずます困難を極めるのだ。双方のマインドや意識が稚拙なものでなく、大人の高さが必要となる世界だ。【プロフィール】たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。
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