7月4日の土曜日、東京ビッグサイトで開かれた「日本ジュエリーベストドレッサー賞」の表彰式に高市早苗首相の姿があった。特別賞を受賞した高市首相は終始笑顔だった。ところが、その3日後の7月7日、トルコ・アンカラで開幕したNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に、高市首相の姿はなかった。日本の首相はインド太平洋のパートナー国「IP4」の一員として2022年から首脳会議に招待されてきたが、高市首相は「国会の日程を含む諸般の事情」を理由に出席を見送り、茂木敏充外相と小泉進次郎防衛相を代理派遣したのだ。日本の首相の欠席は、昨年の石破茂前首相に続いて2年連続となる。民間の表彰式には出席しながら、なぜ各国首脳が集う会議の場には出席できないのか。当然ながら疑問の声が上がっている。秘書の陳述書を後日提出で「答弁に代えたい」「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」ご存じのとおり、昨年の新語・流行語大賞で年間大賞に選ばれた高市首相の言葉である。だが、7月9日発売の『週刊文春』の報じたところによれば、首相動静をもとに独自算出した高市首相の「週末引きこもり率」は50%を超え、第2次政権時の安倍晋三元首相(4%台)の10倍以上にのぼるという。6月22日の衆院予算委員会では、首相陣営による中傷動画の作成・拡散疑惑や、暗号資産「サナエトークン」への関与疑惑について質問を受けた高市首相が、質問に直接答えず、秘書の陳述書を後日提出することをもって「答弁に代えたい」と述べる一幕があった。事前通告された質問に答えず、書面で済ませようとする異例の対応である。野党議員が繰り返し答弁を迫ると、「本当に、金曜日の夜から今朝までの間、ほとんど睡眠も取ってません」と返答したのだ。しかし、質問の通告は前週の金曜日。答弁の月曜までには、土日が丸々挟まっていた。そして首相動静が示すとおり、高市首相の週末はほぼ「終日、公邸」なのである。公邸にこもり、寝る間も惜しんで資料を読み込んでいたというのなら、なぜ答弁の準備が間に合わなかったのだろうか。武器販売のアピールの場・NATO首脳会議への欠席そうしたなかでも、高市首相はジュエリー賞の表彰式には出席し、NATO首脳会議は欠席するという不可解な行動をとっている。そもそも今回のNATO首脳会議は、高市政権にとって重要な機会だったはずだ。自民・維新両党は昨年10月の連立合意で防衛装備移転の「5類型」撤廃の方針を打ち出し、高市政権は今年4月、防衛装備移転三原則とその運用指針を改正した。殺傷能力のある武器の輸出を原則可能とする、戦後安全保障政策の大転換である。このとき高市首相は「防衛装備面でもお互いを支え合うパートナーが重要」と、同盟国・同志国との連携をその意義に掲げていた。ならば、欧州の首脳が一堂に会するNATO首脳会議こそ、日本の防衛装備を売り込む絶好の機会だったのではないか。現に、首脳会議に先立つ6月上旬には、ブリュッセルの日本大使公邸で日本企業14社がNATO関係者に向けて防衛技術を出展した。首脳会議の開幕日には、アンカラで各国首脳が参加するNATO防衛産業フォーラムも開かれ、日本からは小泉防衛相が出席している。企業と閣僚は売り込みの場に立ち、トップである首相は立たない。これでは何のための5類型撤廃だったのか、わからなくなる。自ら招いた国会の混乱で外交の舞台に立てない「本末転倒」しかも、欠席の理由とされた国会の空転は、数の力を頼んだ与党側の強気の国会運営が野党の反発を招いた結果でもある。自ら招いた混乱を理由に、自ら掲げた外交の舞台を降りたのだとすれば、本末転倒というほかない。空転の一因となった党首討論の開催は、与野党の合意によって、ようやく7月15日に決まった。会期末の17日まで、残すところわずか2日というタイミングである。「働いて働いて〜」は流行語になった。だが、労働の価値は自己申告の苦労ではなく、結果と成果で測られる。それは一般の社会人なら誰もが知っていることだ。首相として堂々と問いに答え、決めるべきことを決め、出ていくべき場所に出ていく姿を、国民は見たいのではないだろうか。
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