歯止めが利かないとズブズブと沼に...「推し活」のめり込みにご注意 「ちょっとくらいなら」から転落

   アイドル、俳優、バンド、配信者などを熱心に応援することを「推し活」と呼ばれ始めてから早数年......。日本では世代を問わず推し活に勤しむ人々が急増し、「推しメン」を抱えている人もいる。少し前ならオタク趣味や追っかけに対する印象が悪かったかもしれないが、最近は自分の「好き」を公言するハードルが下がった。

   コンテンツも多様化され、世間の意識も大幅に変化したことが大きく関係しているのだろう。「好きなものを好き」と主張できる風潮はいいこと。推し活は肯定的にとらえられている。

   しかし、趣味は一歩間違えると熱が入りすぎて泥沼と化す。特に今は毎日のように催し事も多く、どこかを巡れば、新たな推しメン(以下:推し)がすぐに見つかるといえるか。そして歯止めが利かなくなると、暴走しがちである。

   いつでもどこでも夢のような世界に触れられるからこそ、自制心が崩壊すると生活に支障をきたす。「好き」の範囲を超えた問題となれば、せっかくの楽しい出来事も一瞬にして地獄へと変わってしまう。

  • 「推し活」のめり込みにご注意…(写真はイメージ)
    「推し活」のめり込みにご注意…(写真はイメージ)
  • 筆者のたかなし亜妖さん
    筆者のたかなし亜妖さん
  • 「推し活」のめり込みにご注意…(写真はイメージ)
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対抗心を燃やすなど自分のキャパを超えてしまい...

   推し活は生活を華やかに彩り、活力をチャージできる最高の趣味である。チケット代やグッズの値段などは最初から決まっているし、夜のお店と違って予算が立てづらいわけでもない。冷静な頭と節度を持てば、そう危ない橋を渡ることはないだろう。程よく楽しめれば毎日に「ハリ」が出て、ストレス解消効果も期待できる。

   しかし歯止めが利かないと、ズブズブと沼にハマる。今はどの界隈もいかに熱狂的ファンを作るかに闘志を燃やすため、クラウドファンティングやイベントの連続開催、特典会という名の接触タイムなど次から次へ多くの物が「供給」されていく。

   言われるがままに全て「供給」に応じると落とす金額が倍増し、気づくと年間数百万円以上が普通となる恐れがある。

   節度を持てば未然に防げるが、のめり込むと「ちょっとくらいなら」と思いがちだ。近くに多額のお金を落とすファンがいれば羨ましくなったり、対抗心を燃やすなどして自分のキャパを超える話も、この手の界隈ではよくある話。

   頑張った分だけ何らかのリターンは期待できるのだろうけど、一度使いすぎたらもう最後で、「ちょっとくらいなら」が通常運転→毎月キャパオーバーで生活が苦しくなってしまう。

   金銭問題は特に深刻で、メンズ地下アイドルやメンズコンカフェなど、演者との距離の近さに意味を見出して使いすぎてしまう人が多い。接触のみならず、チケット「早番」欲しさに重複申し込みをして、本来なら1公演5000円で済むところを2万、3万に膨らませるなど、後先考えず突っ走る姿勢が悲劇を呼ぶ。

「身近な存在」と錯覚してしまい...

   推しは基本的に遠い世界の人間だが、規模が大きかろうと小さかろうと、現場に通い詰めるうちに一部のファンは感覚がおかしくなることもある。撮影会などの接触イベントが頻繁に開催され、時にDMのやり取りもできてしまうと、一気に「身近な存在」と錯覚し始めるのだ。

   「距離感バグ」を起こすと演者への接し方が「神」から「憧れだけど、ちょっと身近なお兄さん・お姉さん」へと変化。最終的に気持ちがいき過ぎたところまでいくと相手の素性まで暴きたくなり、ファンとしての危険ゾーンへと足を踏み入れてしまう。

   生活ぶりから恋人の有無、交友関係等、何もかもを把握したくなる人はどの界隈にも現れる。「自分には絶対あり得ない」と思っていたはずだとしても、一度感覚が麻痺すればストーカー予備軍と化してしまう。

   心のどこかでは禁則事項という事実に気づいていても、恋心は止められないのが難しいところ。暴走した末に、大問題へ発展する事例もある。演者と裏でつながり、正式な恋人ではなく金銭絡みや友達以上恋人未満などの微妙な間柄を築いてしまうと、高確率でトラブルへ発展する。そうした痛ましい事件も起きてしまった。

   ファンと金銭目的でつながり、不義理をはたらく演者はいつの時代にも一定数いる。客は推しが好きだから、話を持ち掛けられたら大半がヒョコッと乗ってしまうだろう。しかし、軽率な行動が災いを呼ぶため演者はもちろんのこと、推す側の線引きも必要不可欠。どうか、大好きだったはずの趣味から転落し、人生で後悔することがないよう誰もが気を付けたいものだ。

   お熱になっていると人は真っすぐに物事を見られず、他者の意見も耳に入れなくなる。恋とはそういうものなのだが、推し活の恋とは高確率で「真っすぐな純愛」ではなく、実る確率はあまり高くない。たとえ「ガチ恋」でなかったとしても、この中で一番のファンになりたいとか、誰かの競争で自分の価値を見出してしまうとお金を遣い過ぎてしまいがちだ。

   イベント現場には驚くべきレベルのお金持ちや、公演を全制覇する「全通勢」もいて、上を見ればキリがない。推し活はどこまでいっても娯楽。「それしかない」と推しだけに依存しきると、経済的破綻を起こしやすいので、何事も楽しくほどほどに。



【プロフィール】
たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。

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