「消費減税は自民党の公約ではなかった」意見書を出した幹事長代理に聞く

   飲食料品の消費税率を2年間限定で1%に下げる方針について、自民党は2026年8月5日の政調審議会で基本方針案を了承した。自民党の古川禎久・幹事長代理(税調副会長)が「党税調・正副役員会に議論を差し戻すべきだ」との意見書を提出した。古川氏は、そもそも消費減税は選挙公約ではなかったという。

(聞き手:ジャーナリスト 菅沼栄一郎)

  • 古川禎久・自民党幹事長代理(菅沼栄一郎撮影)
    古川禎久・自民党幹事長代理(菅沼栄一郎撮影)
  • 高市早苗首相(2025年10月撮影)
    高市早苗首相(2025年10月撮影)
  • 古川禎久・自民党幹事長代理(菅沼栄一郎撮影)
  • 高市早苗首相(2025年10月撮影)

選挙公約集には「検討を加速する」という文言が了承された、とある

   ―― 消費減税は「選挙公約」ではない、と古川さんの「意見書」にはありました。

「今年の衆院選の直前、総理が急に『消費減税』をおっしゃったけれども、党の最高意思決定機関である総務会では消費減税の反対論が出て、公約にはなりませんでした。だからこそ公約集には『国民会議での検討を加速する』とだけ書かれたのです」
「国民の皆さんからすれば、今さら公約じゃないなんて言われても納得できないのはわかります。しかし、公約だからやる、という議論は間違っていると思います。その後、公約の通り『検討を加速』した結果、国民会議で消費減税案はまとまらず、また自民党税調・正副役員会でもほぼ反対意見でした。ところが一転、8月3日の合同会議で『公約通り実行すべきだ』という意見が多数をしめ『一任』となったというのが経緯です」

国民が公約みたいに受け取っている、悲願とか、言っちゃったから

   ―― いまの経済情勢では消費減税は必ずしも得策でないとの認識も、有権者に 出て来たんじゃないですか。

「大事なことは、物価高で苦しむ国民のために何が良いのか、ということです。消費減税なのか。それとも給付なのか。消費減税にはいくつか問題が指摘されています。たとえば(1)消費減税は高所得者により恩恵が手厚く、中低所得者には重点的な支援にならない。(2)農家・外食・小売りなど民間事業者に多大な負担や混乱が出る。(3)消費税は社会保障財源。物価対策に使うべきではない。(4)いったん税率を下げたら元に戻せないリスクが高い。などです。選挙後、中東情勢も激変し、熊本地震も起きています。国民にとって何が一番よいか。これを見失ってはいけないと思います」

消費税減税したけれどたいへんなことになったら責任とれるか

   ―― 飲食料品の消費減税については、秋の国会でも議論が続きますが、経済専門家 のなかには、かえって経済的にマイナスになるとの予想もあります。責任論はどうなりますか?

「そこなんです。議員が10人いれば10人とも意見は違うのです。それでも議論を尽くすことによって最後は自民党としてまとまれるのです。これまでの自民党はそうでした。ところが今回、ほとんど議論せず決めてしまった。たくさんあった異論は置いていかれました。仮に、このさき何かあったとき、『あれは自民党みんなで決めたこと』と言えるのでしょうか。ということです」
「増税をよろこぶ国民は一人もいません。それでも社会保障の安定や将来世代を思えばこそ、不人気を承知で、先輩方は増税をお願いしてきました。これが消費税の歴史です。私たち政治家は、いいことだけを言うのではない。時として国民に、正直に説明しお願いする姿勢が大事だと思っています」
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