東大の60代教授について、中国から閲覧しにくくするよう大学院の入試サイトを細工していたとして、大学が懲戒処分にしたと、毎日新聞などが報じた。東大が2026年8月4日に発表した処分を指すが、発表では、具体的な内容には触れられていない。この問題では、中国人留学生が差別だと学内で訴えたなどとされており、なぜこうした発表になったのかその妥当性が問われそうだ。中国人留学生の入学を阻害する目的があった?この問題は、東大新聞と毎日新聞が24年12月7日、ほぼ同時にウェブ版記事などで報じた。それらの記事によると、東大大学院新領域創成科学研究科のメディカル情報生命専攻に関して、入試情報などを掲載したページのソースコードに「六四天安門」という言葉が書き込まれていると、同年3月に大学に情報提供があった。六四天安門とは、1989年6月4日に中国・北京の天安門広場で起きた民主化運動を中国軍が武力で弾圧した「天安門事件」を指す。中国では、事件関連の言葉がソースコードに書き込まれた場合、検閲システムに引っかかって閲覧できなくなるともされている。六四天安門は、ソースコードのコメント部分に書かれていたとみられ、ページ上では直接表示されなかったというが、大学では、事実確認したうえで、メディカル情報生命専攻がこの言葉を削除する対応をした。そして、不適切な言葉を書き込めないようシステムを変更したという。東大新聞などでは、中国人留学生の入学を阻害する目的があったのではないかとの見方を示し、大学もその取材に対し、多様な学生を迎える方針に反する不適切な行為で大変遺憾だとコメントし、調査を進めているとしている。その後、調査結果がどうなったか分からなかったが、毎日新聞や産経新聞が8月4日から、大学がこの問題で60代教授を懲戒処分にしたと次々に報じた。毎日は、「政府関係者」の話として、大学の公式サイト発表はこの「六四天安門」問題だと指摘した。一方、大学の発表では、この問題で処分したのか、はっきりしない内容になっている。60代教授が20~23年11月に所属する専攻や自らの研究室のサイトに不適切な言葉をソースコードとして書き込んだとしているだけだ。留学生の受け入れが専攻内で議論になっていたこの教授の行為について、教職員就業規則の「大学法人の名誉又は信用を著しく傷つけた場合」に該当するとし、副学長は、「本学教員としてあるまじき行為であり、かかる行為は決して許されるものではなく」と断罪した。しかし、実際の処分は、7月29日付で出勤停止3日にするというものだった。東大新聞の25年1月21日付ウェブ版記事によると、メディカル情報生命専攻でも、外国人の割合が年々増え、博士課程では、外国人の約8割が中国人留学生だという。こうしたことから、専攻内でも、その受け入れが議論になっていた。日本人学生を増やすべきとの意見のほか、留学生が多いのは問題だとする教員らもいたという。中国人留学生が多く多様性が損なわれているとの声も出たが、学部からの進学が少なく、受け入れざるを得ない状況もあったのではないかともいう。東大新聞が初報後に行った意見投稿フォームには、そもそも中国当局による検閲がおかしいとする声のほか、中国共産党の関係者が紛れ込んでいる可能性やスパイとして協力を求められる危険性を指摘する意見も寄せられた。とはいえ、記事では、「こうした意見は言論の自由が重要だという大前提と、情報統制を悪意を持って利用した行為の問題性という次元の異なる事象を並行して論じようとするものだ」として、今回の問題を切り離して考える必要にも触れている。この問題を受けて、大学内には、問題に抗議する立て看板が中国人留学生によって立てられたという。「東大大学院、中国人受験生を差別するな」と訴えるもので、記事では、看板を制作した留学生2人にもインタビューしている。こうした経緯があるにもかかわらず、東大は、この問題を受けての発表であるかを明かしていない。東大のコミュニケーション戦略課は8月5日、J-CASTニュースの取材に対し、「専攻や研究室といった非常に小さい範囲になりますので、個人が特定されかねません。本件については、本学の公表内容がすべてとなります」と答えた。六四天安門の問題についても、「調査結果に関しましては、それに基づいて学内でしかるべき措置を行いました。個人が識別されてしまいますので、調査結果などの詳細は開示していません」と述べるに留まった。(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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