タバコ浸りのヒロインを描く深夜アニメ「ヤニねこ」(TOKYO MXなどで放送)について、違法薬物とみられるものが登場するシーンを疑問視する視聴者からの批判的意見があったとして、放送倫理・番組向上機構(BPO)の審議で取り上げられた。
「紛らわしいことを放送でしないほうがいい」と委員から意見が出たが、「表現の自由」の範囲内だとする委員も多く、「討論」にまでは進まなかった。このことがネット上で大きな話題になり、様々な意見が出て議論になっている。
「紛らわしいことを放送でしないほうがいい」とする委員も
このアニメは、タバコから手が放せない猫耳の若い女性の日常を描いたX上のコメディ漫画が原作だ。漫画家3人の合作になっており、2022年11月にアカウントが開設されると、次第に人気を集めるようになった。
その後、漫画家集団「にゃんにゃんファクトリー」による連載漫画が、23年4月から「週刊ヤングマガジン」(講談社)上で始まった。テレビアニメ化もされて、26年7月2日からは、TOKYO MXテレビなどで深夜に放送されている。
「ヤニねこ」とみられるアニメがBPOで取り上げられたのは、7月28日の青少年委員会だ。
BPOサイトの議事概要によると、このアニメについて、「喫煙描写が繰り返され、違法薬物とみられるものの使用シーンもあり、深夜帯とはいえ問題ではないか」などと批判する意見が視聴者から寄せられた。
この問題を担当した委員からは、「深夜帯という子どもたちが見ないという前提の時間に放送することで(番組制作側の)配慮は感じられるし、違法薬物の使用だとはっきり明示しているわけでもないので、表現の自由という意味では許容の範囲内だと思う」と報告された。
しかし、別の委員からは、次のような異論が出された。
「(違法薬物の使用が)社会的な問題になっているときに、紛らわしいことを放送でしないほうがいいと思う。自己注射のシーンがあったが、(覚醒剤の使用の)ほかに何か考えられますか」
一方、他の委員からは、許容範囲内だとする担当委員と同様な見方も示された。
ある委員は「影響はより限定的」と表現の自由を尊重
「もし番組が実写のドラマであった場合はどうか。それと比較して、アニメの描写にともなう青少年への影響はより限定的であり、創作・表現の自由の範囲内だと思う」
結局、このアニメの問題については、「討論」には進まなかったとしている。
委員の1人が指摘した自己注射のシーンは、「ヤニねこ」第2話だとみられている。
それは、薬に依存しがちな別のキャラクター「ヤクねこ」とヒロインがやり取りする場面だ。
ヒロインが隣の部屋を訪れると、後輩だというヤクねこは、寝ながら左腕に注射して、「キック~」などとほおを赤らめていた。本人は、「これ予防薬ですよ」と注射器を示したが、テーブルの上には、注射器やビタミンの錠剤などが散乱している。
ヒロインが「お前、また変な薬やってないだろにゃ」とただすと、ヤクねこは、「足洗ったんですよ」と反論した。しかし、「お前マトリか」と疑問を持たれかねない発言をして......というものだ。
このほかにも、2人がタバコとは異なるようなものを吸って恍惚の表情を浮かべるシーンもあった。
この第2話は、放送後にネット上でも様々な意見が出て、波紋が広がっていた。
今回、BPOでも議論になると、「注射器はまずい」「いやいや、これはアウト」と委員の1人に同調する声も出た。その一方、表現の自由の範囲内ではないかとする意見は多く、「社会派ブラックジョーク」「問題ないでしょ」「こんなこと言ったら何も作れなくなりません...?」との声があった。また、「真似したいと思う人は少ないだろう」「反面教師として観れていい」といった指摘も出ていた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)