「部下に説明するくらいなら、自分でやった方が早い」
管理職のみなさんは、こんなふうに感じることがありませんか。
資料を作成する。顧客に連絡する。社内の関係者と調整する。経験のある自分が対応すれば、短時間で終わる仕事もあるでしょう。部下に任せると、説明に時間がかかるうえ、仕上がったものを修正する必要もあります。
忙しいときほど、自分で片づけたくなる気持ちは理解できます。
ただ、その判断を繰り返していると、いつまでも自分の仕事が減りません。部下も、指示された範囲の仕事から先に進めなくなります。
目の前の仕事を早く終わらせる判断が、長い目で見れば、忙しさから抜け出せない原因になっているのです。
「任せられる人がいない」は、なぜ続くのか
たとえば、顧客向けの提案資料を作る場面を考えてみましょう。
上司が構成を決め、伝える内容も考え、部下には情報の収集と体裁の調整を頼む。重要な説明は、商談の場でも上司がすべて担当します。
これなら、一定の品質は保ちやすいでしょう。部下も大きな失敗をせずに済みます。
しかし、これを何度繰り返しても、部下が「顧客の課題をどう捉えるか」「何を優先して提案するか」を考える機会は増えません。
上司は忙しいまま、部下は補助的な仕事を続ける。その状態で「そろそろ一人で提案できるようになってほしい」と求めても、部下は困ってしまいます。
任せられるようになったら任せよう、と待っているうちに、任せられる人が育たなくなってしまうのです。
もちろん、顧客への影響が大きい仕事を、準備なしに任せるわけにはいきません。だからこそ必要なのが、仕事を段階的に任せる工夫です。