元テレビ朝日社員でコメンテーターの玉川徹氏がホームレスをめぐる発言で謝罪した問題は、社長会見でも俎上に上った。同局の西新社長が2026年10月27日の定例会見で改めて謝罪した。MBS(旧・毎日放送)元プロデューサーで同志社女子大学教授の影山貴彦氏は28日の取材に対し、玉川氏の今回の発言について「口が滑ったでは済まされない」と指摘。また、社長が謝罪したときの表現についても、使い古された言葉でまとめるべきではないと話した。なぜテレ朝は玉川氏を起用し続けるのか。日本の情報番組は何が課題なのか。詳しく聞いた。「差別意識があるのではないかと思われても仕方がない」問題になった10月22日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)では、抜け毛や薄毛について特集していた。玉川氏は薄毛に悩む男性に対し「いいから病院行け」と勧め、つぎのように発言した。「生活習慣とかで変わるものだったら、ホームレスみんなハゲだっつうのっていうんですよ。あんだけ汚い生活してて、フサフサな人いるじゃないですか。海外でもどこでもね」約30分後、玉川氏は番組の終盤で「ホームレスの方々に対して大変不適切な表現がありました。反省しております。深くお詫び申し上げます」と謝罪していた。その後、テレビ朝日が27日に定例会見を開き、西社長も謝罪した。局ウェブサイトによると、次のように発言した。「発言については本人が既にお詫びを申し上げているとおりだが、改めてお詫び申し上げたいと思う。当該の発言は、差別や偏見を助長しかねない不適切なもので、本人が深く反省しているのは当然のことであり、我々としても重く受け止めて、今後、適切な放送に取り組んでまいりたいと考えている」記者から「本人への注意などや再発防止策」を問われると次のように話し、厳重注意で対応が完了したとの立場を示している。「放送当日、番組責任者を含めて厳重に注意をしており、本人も深く反省していると思う。我々もこれを重く受け止めて、今後、適切な放送に努めてまいりたいと考えている」影山氏は28日、J-CASTニュースの取材に対し、玉川氏を「非常にクレバーな方だと思います」と評価した。専門外の話題だとしても30秒や60秒の短い時間で気の利いたコメントを返すことができ、番組を賑わせるためのリップサービスもできるためだ。一方で、玉川氏は失敗を繰り返し過ぎているとも指摘する。実際、玉川氏の発言が問題になるのは今回が初めてではない。22年9月には安倍晋三元首相の国葬をめぐる「電通」発言で、出勤停止10日の謹慎処分を受けた。26年4月には米トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏について「ましてやユダヤ人ですよね?」と発言し、テレビ朝日が謝罪した。影山氏は、今回の発言についても「口が滑ったでは済まされない」と述べる。こうした発言が公共の電波を通じて出たということは「差別意識があるのではないかと思われても仕方がない」と批判した。玉川氏の謝罪後、西社長も謝罪したことについては、「社長が直々に謝罪しないと、まだまだ収まりそうにないという実感があったのでしょう」とみる。だが社長が謝罪したときの表現について、使い古された言葉でまとめるべきではないと批判した。今のテレビ業界は「お金がない、時間がない、人手が足りない」社長会見の発言のように、テレビ朝日は玉川氏への対応を「厳重注意」にとどめている。なぜ同局は玉川氏を起用し続けるのか。影山氏は、玉川氏本人を含め玉川氏のようなコメンテーターを起用する制作現場の事情をつぎのように話す。「お金がない、時間がない、人手が足りない、というのが今のテレビ業界ですから。そのときに、とりあえずの場を持たせ、番組を賑わせるコメンテーターが1人や2人いれば、番組が成立する。一定の数字も読める。作り手がもっと汗をかかなきゃいけないところを、こうしたコメンテーターに依存しているところがあると思います」影山氏によれば、テレビは約70年の歴史を通じ、多少の批判を受けても話題性や視聴率を優先する姿勢を取り続けてきた。しかし社会が成熟し、オールドメディアに対する批判も高まる中、従来の姿勢を続けてよいのか、と影山氏は疑問を呈した。数字を取ることと視聴者に支持されることが同じではないことは、テレビマンも気付いている。そして、現場の力が落ちたわけではなく、本当に面白い番組を作りたいと思い、危機感も持っているという。一方、上層部はコスパやタイパを最優先してしまうため、現場の思いと乖離してしまっていると指摘する。影山氏は「そろそろ本当に作りたい形で作ろう」と呼びかける。「視聴者を言い訳にしないで、しっかりと頭を使って、体を使って、汗かいて、番組作りに臨んでほしいなと思います」とした。
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