高市早苗首相は10月27日、来日したバングラデシュのラーマン首相と会談し、日本企業によるバングラデシュへの投資が今後5年間で1兆円に達する見通しだと伝えた。
すると直後からSNSで「日本政府がバングラデシュから10万人の労働者を受け入れることで合意した」という誤った情報が広がった。
この影響もあり、29日になって外務省の報道官がX(旧ツイッター)で「首脳会談でのやり取りを含め、そのような事実はない」と否定した。
なぜこのようなデマが流れたのだろうか。
高市政権が掲げた「秩序ある共生」のための外国人政策
昨年8月にも、同じようなデマの流布が起こっている。国際協力機構(JICA)が国内4市をアフリカ4か国の「ホームタウン」に認定したところ、移民が増えるという誤情報が広がったのである。4市には問い合わせや苦情が殺到し、JICAは事業を撤回することとなった。
こうした誤情報に世論が左右される背景には、外国人の増加に対する不安や不満の高まり、そして日本の外国人政策が抱えるねじれがある。
昨夏の参院選では「日本人ファースト」を掲げる参政党が、自民党の支持層を切り崩して躍進した。それもあってか、高市首相は昨秋の自民党の総裁選で、外国人政策を「いっぺんゼロベースで考えるつもりです」と語り、自民党から離れかけた保守層の期待を集めて総裁に選ばれ、首相に就任した。
そして高市政権は、今年1月に「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」という外国人政策の新しい方針をまとめた。
方針は、一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱について、「国民が感じている不安や不公平感に対処する」ことを基本的な考え方に掲げている。在留の審査で、税金や社会保険料をきちんと払っているかを厳密に確認。また、永住の許可には日本語力を求め、帰化の条件も厳しくする方向となった。
方針をまとめる前の昨年12月にNHKが行った世論調査では、国籍取得の条件を厳しくするなどの政府の方針に7割が賛成している。