イチロー、大谷、清宮ら「右投げ左打ち」選手 大リーグ研究では絶賛だが日本で危惧される理由

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   今話題の大谷翔平や清宮幸太郎をはじめ、最近、日本の野球界で「右投げ左打ち」選手が急増している。これは右利きなのに、左で打った方が有利なためだが、米大リーグの選手を調べた研究でも圧倒的にいい成績をあげることが医学誌「New England Journal of Medicine」(電子版)の2017年10月26日号に発表された。

   その一方で、日本のプロ野球界では「右投げ左打ち」ばかり増えることを危惧する声もある。いったいどういうことか。

  • 清宮幸太郎も右投げ左打ちだ(2017年7月28日撮影)
    清宮幸太郎も右投げ左打ちだ(2017年7月28日撮影)

大リーグで生涯3割打者の確率は「右打ち」の130倍

   「右投げ左打ち」選手はといえば、イチローをはじめ金本知憲、松井秀喜、青木宣親、高橋由伸、阿部慎之助、福留孝介、柳田悠岐、筒香嘉智、亀井義行......。そして、大リーグ入りを表明した大谷翔平、高校通算最多の111本塁打を放ち、日本ハムにドラフト1位で指名された清宮幸太郎らがいる。

   「NEJM」誌に論文を発表したには、オランダ・アムステルダム大学、独オルデンブルグ大学、英ケンブリッジ大学の合同研究チームだ。論文は非常に短いもので、なぜ欧州の大学が米大リーグの研究を行なったのかは不明だ。

   研究はシンプルで、1987~2016年に大リーグでプレーした野手9230人を、「右投げ右打ち」(63%)、「右投げ左打ち」(11%)、「左投げ左打ち」(16%)、「左投げ右打ち」(3%)、「右投げ両打ち(スイッチヒッター)」(6%)、「左投げ両打ち」(1%)に分けて、生涯成績を比較した。生涯成績は、(1)打率が2割9分9厘以上(つまり3割打者)になる確率、(2)1000本安打を達成し野球殿堂入りを果たす確率を、それぞれオッズ比で比較した。

   その結果、両方の成績とも最も良かったのは「右投げ左打ち」の選手だった。3割打者になる確率は、2位の「左投げ左打ち」の5倍と大きく引き離し、「右投げ右打ち」の何と132倍とずば抜けた成績だった。さらに野球殿堂入りの確率でも、2位の「右投げ両打ち」の2倍という成功率の高さだった。

   それにしてもなぜ、「右投げ左打ち」は高打率を発揮するのだろうか。研究チームリーダーのアムステルダム大学のデビッド・マン教授(スポーツ医学)は論文の中で、3つの理由をあげている。

(1)まず、左打者の利点として、安打になる確率が高いことがあげられる。左のバッターボックスは一塁に近いうえ、バットのスイングも一塁方向になるため、右打者より早く一塁に走ることができる。

(2)右投げのメリットとして、全部のポジションを守ることができ、出場機会が多くなる。左投げは投手、一塁手、外野手に限られる。

(3)左打者の利点として、右打者が多数派を占めるため、投手は左打者との対戦経験や投球練習が少なくなり、左打者有利になりやすい。

   こうした点からマン教授は、論文の中で野球指導者に対してこうアドバイスしている。

「私たちの研究から、右利きでも左打ちを選択した打者は成功率が高いことが明らかになりました。右利きは右打ちで、左利きは左打ちでというこれまでの常識は捨てるべきです。子どもたちには、右打ちと左打ちの両方を練習させ、好きな方の打ち方を選ばせるとよいでしょう」
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