Just ear 購入レポート(後編)
"究極のパーソナルオーディオ"の完成

新しい音を体感させてくれるJust ear

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   また、Just earを用いて音楽を聴くなかで、改めて感じたのは、音楽が"進化"しているということだった。

   ウォークマンが登場して今年で40年。アーティストの作った音楽にリスナーが"一対一"で向き合うことは、もはや当たり前になった。テクノロジーの発達によって、音域のレンジは広がり、解像度が高まり、声の息吹や、演奏の細かいニュアンスや、その場の空気感まで音源に封じ込めることができるようになった。

   だからこそ、新しい世代のアーティストは、イヤホンやヘッドホンで聴かれることを前提に、より親密な表現をできるようになった。生楽器であるか、エレクトロニックなサウンドであるかを問わず、より綿密な音作りが可能になった。一方で、かつての名盤はリマスタリングによってよりクリアな音質に蘇ることが当たり前になった。

   イヤホンやヘッドホンで、スマートフォンで聴くことが前提になったことで、音の"体験"が変わりつつあるのだ。

   そして、それは音楽というカテゴリすら超えた潮流を生みつつある。

   最近、ネットを中心に若い世代の間で広まっている「ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)」という言葉がある。これは海外発のムーブメントで、わかりやすく言えば「聴いて心地がいい音」を耳にすることで快感が得られる現象のこと。YouTubeには「ASMR」というキーワードと共に、ささやき声や、雨の音、自然の環境音など、多数の動画が投稿されて人気を博している。

   ちなみに、これらの「ASMR動画」も、Just earで聴いたときの気持ちよさは格別だ。

   最先端のポップ・ミュージックのシーンにおいては、"聴覚的な快楽"が、これまで以上に重視されている。テクノロジーはカルチャーの"体験"を変え、そしてカルチャーの"体系"を変えつつある。そんなことも、Just earを用いて音楽を聴くなかで改めて考えさせられたことだった。



   SONY「Just ear」購入体験レポート(前編)はこちら



■執筆:柴 那典(しば・とものり)
1976年神奈川県生まれ。音楽ジャーナリスト。ロッキング・オン社を経て独立、雑誌、ウェブなど各方面にて音楽やサブカルチャー分野を中心に幅広くインタビュー、記事執筆を手がける。主な執筆媒体は「AERA」「ナタリー」「CINRA」「MUSICA」「リアルサウンド」「ミュージック・マガジン」「婦人公論」など。日経MJにてコラム「柴那典の新音学」連載中。CINRAにてダイノジ・大谷ノブ彦との対談「心のベストテン」連載中。著書に『ヒットの崩壊』(講談社)『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』(太田出版)、共著に『渋谷音楽図鑑』(太田出版)がある。

ブログ「日々の音色とことば」http://shiba710.hateblo.jp/ Twitter:shiba710

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テイラーメイドイヤホン「Just ear」

XJE-MH1 音質調整モデル
各購入者に対してヒアリングを行い音質が決められるモデルです。
価格:30万円・税別(インプレッション費用は別途かかります)

XJE-MH2 音質プリセットモデル
あらかじめ設定された3つの音質バリエーションである「モニター」、「リスニング」、「クラブサウンド」から選択します。
価格:20万円・税別(インプレッション費用は別途かかります)

試聴は東京ヒアリングケアセンター青山店や、ソニーストア(銀座、名古屋、大阪、福岡天神、札幌)などで可能です。詳しくは下記のJust ear公式サイトをご覧ください。
https://www.sony.co.jp/Products/justear/

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