「社長をバカにしたメール」送信先を間違えるとどうなるか?

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「とにかく、現場では合意していることを、新しく来た社長が全部ひっくり返すんですよね」

   そう話すのは、地方でセールスプロモーションの会社を経営している40代のEさん。地元では知られた老舗企業の販売子会社と仕事をしていた時のことです。

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土偶に似た「ワンマン社長」の似顔絵で盛り上がる

   親会社からやってきた新社長は営業畑の人で、縦割りの老舗からの開放感からか、子会社への優越感からか、さっそくワンマンっぷりを発揮。取引きしていたEさんもとばっちりを食うことになりました。

「思いつきでイベントやキャンペーンをやれと言ってくるし、その企画も九分九厘決まった時点から内容を変更しろと横槍を入れてくる。こちらもさることながら、先方の担当者も気の毒なぐらい振り回されていたんです」

   そこで、先方担当者を慰労するためと称して、関係者で飲み会をセットしました。湿った空気で始まった宴は、話が社長への愚痴となったことで大いに盛り上がりました。

「その場で私がつい『今度の社長さんって映画のETに似てますよね』と言っちゃった。すると同年代の先方も乗ってきて『いやいや、鬼太郎のアブラスマシでしょう!』なんて大笑いする。そのうち、若いデザイナーが『土偶でしょう、歴史の教科書に載ってた遮光器土偶にそっくりですよ!』なんて言うもんだから、その場でドグちゃんってあだ名までつけてしまったんです」

   その翌日、絵心のあるデザイナーがEさんと先方の担当者宛に「ドグちゃん」の似顔絵イラストをメールで送ったのを皮切りに、メールの返信で再び社長への愚痴大会となりました。

「社長の似顔絵」を上司に送ってしまった

   しかし、担当者がこのイラストを社内メールで秘密裏に仲の良い同僚に見せようと思ったのが運の尽き。CC欄の消し忘れで上司にも送ってしまい、とどのつまりが社長の知るところとなってしまいました。

「もちろん、イラストはよく描けていたのですが、さらによくできたことに、社長が若かった頃、やはり土偶に似ているとからかわれ、ついたあだ名がなんとドグちゃんだったんですよ……まあ、誰もが思いつくあだ名ではあるんですけどね」

   激怒した社長によって問い詰められた担当者は口を割ってしまい、メールのログも提出させられたそうです。結果、Eさんの会社は出入り禁止に。

「先方の担当者に悪気がなかったことはわかるので、特に恨んだりはしていません。彼も『社長がまた変わったら、この埋め合わせはします!』って言ってくれてはいるんですけど……次に社長が代わるのはいつになることやら……」

   たかがメールの宛先欄の誤りなんです、とEさんは力なく言って遠くに目をやりました。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」 毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社 刊)など。
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