100円パソコンの隠れたターゲットは「就活学生」だった

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   「とうとう出た!」と話題を集めた100円パソコン。

   通信キャリアへの加入が条件ですが、実はこれ、ブラインドの顧客層として、就職活動を行う学生を主力のひとつとして想定していた、という話を聞きました。本当だとしたら、なかなか巧みなマーケティングです。

   そこで、就職意識調査を行っている会社に取材してみたところ、今時の就職または採用活動にはネットが不可欠なんですね。

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就活時期になるとパソコンを買う学生が増える

商品クチコミサイトには「就活用パソコン」の情報
を求める質問も投稿されている
商品クチコミサイトには「就活用パソコン」の情報 を求める質問も投稿されている

   学生と言えば、パソコンよりもケータイというイメージがあります。雑誌やテレビでも、パソコンを持っていて使いこなしている学生は上流、ケータイでネットにアクセスしている学生は下流といった論調が、一時、跋扈していました。

「いやいや、就活になるとほとんどの学生はパソコンを買ってますね。ケータイではエントリーシートからして書き込めませんから」

   企業側としても、いちいち封書で送って返送させ、封筒を破って書類を取り出してバインダーに保管する、なんてことはコストもかかるし面倒くさい。ウェブでのやり取りなら、そのままプリントアウトすればいいから楽ちん。豪華な冊子をつくって送るにしてもコスト面でのムダが多く、採用活動は完全にネットが主戦場なのは皆さんご存知のとおり。

   そこで、就活時期になると、ロースペックで構わないからと、パソコンを買う学生が増えるのだそうです。

ムービーを使った企業サイトは逆効果

「本当に最低限のスペックとソフトウェアしか持っていないため、オープニングとか、ごちゃごちゃとムービーを使っている企業サイトは敬遠されがちですね。階層が複雑になっているのも嫌われます。これは、意外にITやネット系、就職人気が落ちてきている大企業などに多いんです。差別化のつもりでしょうけど、逆効果ですね。軽く、わかりやすい、というサイトは、やはりアクセスを集めやすいようです」

   その一方で、就活BBSや就活情報サイトはケータイで見る学生が多いのだとか。2ちゃんねるや就活BBSなどのコミュニティは、採用担当者もチェックしているといいます。こうしたケースも、職場から2ちゃんねるへアクセスしている一例なのでしょう。

「とりわけ、面接やセミナーの時期、内容については他社や全体の動向を知るためにチェックしているそうですよ。パソコンについては、自分でバイトして買う学生もいますが親に買ってもらう人も多い。ケータイにパソコンと、学業以外での親の負担が増えている。子供を大学へ行かせるのも大変な時代です……」

   ところが、就活でパソコンを買ったからといって、特技はパソコンですなんて面接で答えたらダメなのだとか。

「採用する側は、それこそ日常的にパソコンを使っていますから、何か資格でも取ってるの?と聞かれてオシマイ。ロースペックのPCを使っている学生が多いことを逆手にとって、就活向けのコンテンツをこうしたほうが良いなどと、学生ならではの視点で改善提案ができるぐらいでないと」

   いやはや、学生にとっても親にとっても、確かに大変な時代になっていますね……。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」 毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社 刊)など。
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