2019年 9月 19日 (木)

森永卓郎先輩、そろそろ「貧困ビジネス」はやめましょう

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   現在、問題となっている大量の派遣労働者の解雇問題について、共産党が「内部留保があるのだから、それを使って雇用を守れ」とトンチンカンな主張をしている。資産を勝手に使って株主から訴えられたらどうするんだろうか。きっと共産党らしく、訴えた資本家はラーゲリにでも収容するのだろう。怖い怖い。

   と思っていたら、僕が出演したサンデープロジェクト(2月1日放送)でも、森永卓郎氏がまったく同じ主張をしていてびっくりした。彼の話を真に受けちゃう小学生もいるかもしれないので、要点を簡単にまとめておきたい。

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トヨタは軋みを上げる「木製帆船」みたいなもの

   まず、内部留保とは会計上の概念であり、実際にそれだけの現金を積んでいるわけではない。たとえば赤旗が「内部留保13兆円!」と貧乏人をけしかけているトヨタにしても、現金で持っているのは1兆7000億。下期最終赤字3500億を考えれば、余裕があるとはとても言えない額だ。

   流動資産は11兆ほどあるが、流動負債もそれ以上にあるから、キャッシュリッチなどとはとても言えない(そもそも流動資産といっても子会社や自動車ローンの貸付金が半分程度含まれると思われ、貸し剥がす訳にもいかないだろう)。7兆円の固定資産は工場を畳むのならともかく、現金化はまず不可能だ。

   要するに、トヨタは不沈空母でもなんでもなく、軋みを上げる木製帆船みたいなものだ。乗せてやるよと言われても、僕は遠慮したい。

   では一兆円とも二兆円とも言われる利益はどこへいったのか。答えは簡単。生産設備・研究開発への莫大な投資である(08年度予算での設備投資額は1兆4000億)。「そんなに投資しなくてもいいだろうに」と思う人も多いとは思うが、ここが製造業の悲しいところで、そうやって終わりの無いマラソンを走り続けていくしかないのだ。昔からメ-カーの給料が金融より低いのは、莫大な設備投資に利益が圧迫されてきたためだ。

   もちろん、あらいざらい探せば多少の溜めはあるだろう。固定資産の中にもいらないものはあるはずだ。でもそういう溜めを持つな、全て雇用を最優先せよというのはもはや資本主義ではないし、そうなったら企業はもう誰も雇わず、誰も株式投資なんてしなくなるだろう。なので共産党が本気で冒頭のような主張をするのであれば、その前に革命でも何でも起こすといい。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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