放送作家を襲った悲劇「原稿のメールが届かない!」

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   中堅放送作家として活躍するTさん。立場はフリーランスですが、大手のプロダクションと契約していて、人気番組の企画や構成を担当しています。

   先日、仕事が立て込んでいた時のこと。あるテレビ局の番組の本番に立ち会いながら、空いた時間に別の局のナレーション原稿を書いていました。

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「原稿、まだですか?」とADから催促

「その日は、午前、午後、夜と3つの番組があり、午前の番組の進行をやりながら、空いた時間で夜の番組の原稿を書いていたんです。私も初めて扱う題材で、番組に立ち会いつつネットでデータや記事を調べながら、やっとの思いでナレーション原稿を書き上げ、先方の担当者にメールで送りました」

   これで一息、昼食でも食べに行こうと思った、その矢先。夜の番組のアシスタントディレクター(AD)さんからケータイに連絡が入りました。

「ナレーションか構成の変更かなと思いながらケータイをとったら、いきなり『原稿、まだですか? みんな待ってますよ!』って、強い口調で言われたんです。いや、さっき送ったからって言っても、着いていないって言う。もう一度送るから、着かなかったら教えてくれ、と依頼しました」

   15分ほどしてかかってきた電話口で、先方のADさんはまだ着いていないと言います。「アドレスの間違いではないですか? ○○○@×××ですよ、アドレスを間違えていませんか」と言われて送信済みのメールを確認してみると、正しくタイプされています。

「そこで、逆に空メールを送ってもらい、それに直接、返信することになったんです。でも、先方からのメールは受信できるのに、こちらから送ったメールが確認できない、というんですよ」

スパム防止フィルターにはねられた?

   すでにオンエア時間が迫っていたこともあり、さらなる次善策として、緊急用に取ってあった大手事業者の無料メールアカウント(.comドメイン)宛に空メールをもらい、それに返信することにしました。

   ところが、今度はTさんの方へ、いつまで経っても空メールが送られてきません。

   しかも、そんなやり取りをしている間にTさんのパソコンがフリーズ、保存していなかった原稿の一部が消えてしまいました。

「結局、その局へ移動し、担当ADの目の前で消えた部分を書き直し、プリントアウトしてなんとかなったんですが…。どうも、私のメールアカウントが、普段使用しているものも大手事業者の無料のものも、どちらも新しく導入されたスパム防止のフィルタリングに引っかかってしまい、ハネられていたみたいですね。受信できないのはともかく、送信できないってのにはびっくりしましたけど」

   Tさんが普段メインで使用しているアカウントは、地元のケーブルテレビ局のものだそうです。

「フィルタリングに引っかかりそうにない、大手プロバイダのアカウントを取ろうとは考えているんですけどね。ケーブルテレビのものはタダでもらったものだし、自宅の回線を新たに大手プロバイダへ変える手続きが面倒で、まだやってないんですよ。だから、いまはメールを送ったら、いちいち電話でメール送ったけど着いてる?って確認をしています」

   おおげさに言えば、利便性や安全性が向上するにしたがって、マイノリティが切り捨てられる一つのケースですよね、と言ってTさんは力なく笑いました。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」 毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社 刊)など。
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