2024年 5月 6日 (月)

「レクサスを生む白菜」と「枯れないスイートピー」

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   冷たい雨の降る金曜日。電車を乗り継ぎ幕張メッセに。アジア最大級の食品・飲料専門展示会「FOODEX JAPAN」に見学に行った。過去にも何度かきているが、景気の影響か、いつもより出展企業数も出展コマ数も減っている印象だ。

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「今年は白菜が売れるはず」予想的中で大儲け

   まず農作物や農産加工品の会場から回る。全国の都道府県や農協などが取りまとめた各地の特産品が出展されていたが、ほとんどがはじめて見る商品ばかり。どの産地もメジャーに売ることに四苦八苦している様子だった。

   ものを作ったはいいが売れない、という状態。これは農業でも大きな課題だ。

   「とにかく作ればいい、売れるだろう」では成り立たない時代が来ている。消費者の求めるニーズを知って、作付け品種を毎年変えることだって必要なのだ。

   先日、実家が農業をしているという会社員からこんなことを聞いた。

「うちの母親は、今年は不景気だから主婦は鍋を作ると見込んで、白菜を作付けしたんです。そしたら予想的中でとても高値で売れて、冬だけで600万も儲かった。母親は毎年景気状況などで作付けを変えているから僕なんかより儲かっていて、今レクサス乗っていますよ(笑)」

   白菜でレクサス。「じゃあ、私も」と作ってみても、来年また売れるとは限らない。

   みんなが同じ野菜を来年つくれば価格は下がってしまい、儲からなくなる。特に白菜、キャベツ、大根、じゃがいもは重量野菜とよばれ、収穫や運搬が大変だが、重いからといって値段が高いわけではない。安易に手を出すと、コストばかりかかって大赤字となりかねない。

1ヶ月以上も枯れないスイートピーの秘密

切ってから1カ月以上も枯れないスイートピー。その秘密は「土」にある
切ってから1カ月以上も枯れないスイートピー。その秘密は「土」にある

   長野に、耕作放棄地をリースし、都心から若者を雇用してレタスを作っている先進的な農業法人がある。テレビでも紹介された有名なところだが、見学に行ったとき、そちらの社長さんも、

「10億作ったら10億売らなくてはいけない」

と言っていた。作る人がいればそれを売る人も絶対必要なのだ。

   そんなことを思い出しながら、足を飲料ブースへ移す。ここは主にアルコール類が多いコマだ。私は以前酒造メーカーで働いていたことがある。アルコールのブースには、昔お世話になった方も数人いたのだが、その一人にこんなことを言われた。

「年末に三輪さん(セレン社長)からスイートピーを送ってもらったよ。あれって何? びっくりしたよ! 香りが普通のスイートピーより強いし、先月まで枯れないで咲いてて、驚いたよ」

   スイートピーは、三輪が指導している宮崎の花農家さんが作ったものだ。この花をもらった方はたいてい驚く。ご主人を亡くされたばかりのおばあちゃんがスイートピーをもらったとき、あまりにも長いあいだ枯れないので「おじいちゃんが花にのりうつったのかも」と相談しにきたという笑い話もあるくらいだ。

   普通の切花は、10日から2週間くらい楽しめれば上等だろう。でもこのスイートピーは、土作りによって根が養分を吸収しやすくなっている。蓄積養分が茎にしっかり残っているので普通の切花にくらべ長持ちするのだ。

   茎は普通より硬く、しっかりしていて、プラスチックみたいに感じる。私も同じころ贈ってもらったが、12月下旬から2月上旬まで確かに枯れずに咲いていた。枯れにくいスイートピーと宣伝しているわけではないが、この農家さんの作る花は人気のようだ。

   高品質な農産物をつくってそれがお客様のニーズとあえば、きっと儲かる農業が実現できるのだろう。それには日々たゆまぬ努力と情報収集も必要だけど。

セレン社長秘書 大倉野あやか

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「食を通じて人を元気に。」を合言葉に、2008年10月1日設立。再現性のあるサスティナブルで「儲かる(=夢のもてる)農業」の実現を目指し、農業技術支援だけにとどまらず、人財教育、地域コミュニティの再構築など農業を通じて、日本各地の地方復興、就農者の増加のために現代農業の活性化に邁進している。
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