「幸運な偶然」を呼び込むための「5つのポイント」

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   転職を繰り返してきた僕にとって、ライフネット生命保険という今の職場は(留学中のインターンも含めると)5社目になります。自分ではいつも直感に従って正しい判断をしたつもりだったのですが、このように職を転々としていることについて、先輩から「飽きっぽいやつだ」と言われ、一種のコンプレックスを感じていたこともありました。

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キャリアとは「天職」ではない。「予期せぬ出来事の繰り返し」だ

   しかし、ある理論との出会いが、そのような自分の考えを180度変えるきっかけとなりました。それは「計画された偶然性」というキャリアに関する理論で、スタンフォード大学のクランボルツ教授が唱えているものです。

   従来のキャリア論は、誰にでも「天職」が存在し、それを追い求めて行くのがキャリアだと捉えられていました。しかし、クランボルツ教授はそのような天職は、実は存在しないのだと言い切ります。キャリアとは「予期せぬ出来事の繰り返し」であり、毎日を精いっぱいに生き、少しでも自分にとっていいチャンスを呼び込む、その過程こそがキャリアである、というものです。

   確かに自分のキャリアを振り返ってみると、

・高校時代にたまたま出会ったジャズボーカリストのお姉さんに、ある日「あなたはコクサイベンゴシを目指しなさい」と言われて、司法試験を受けようと考え、
・大学時代に司法試験に不合格になり落ち込んでいたときに、たまたま封筒の宛名が手書きだったから開いたコンサルティング会社でインターンをやることになり、
・その会社でたまたま近くに座っていた先輩に誘われたベンチャーに転職したものの、そのベンチャーが一年で店じまいをしたことで再び転職をし、
・そこで働いたことがきっかけで留学し、たまたま書き始めたブログが投資家の目に止まり、生命保険会社を立ち上げることになった。

という歩みであり、途中の一つでも狂ったら、いまの自分はいないのだなぁ、と不思議に思います。それとともに、学生時代にいまの自分の姿を想像することはできなかった、と思います。

「楽観的に考えて、できることから一歩を踏み出してみる!」

   もっとも、いいチャンスを呼び込むには、運任せで何かが起こるのを待つのではなく、自分自身で積極的に取り組むことが必要となります。クランボルツ教授は「計画された偶然性」を呼び込むために必要な要素を、次の5つにまとめています。

1.好奇心:新しい学習機会の模索
2.持続性:めげない努力
3.楽観性:新しい機会を「実現可能」ととらえる
4.柔軟性:信念、概念、態度、行動を変える
5.リスク・テイキング:結果が不確実でも行動に移す

   これだけだと抽象的ですが、結局のところは「自分がやってみたいと気になることは、楽観的に考えて、どんなに小さなことでもいいから、まずできることから一歩を踏み出してみる!」ということだと思います。

   僕が最近出会った人でもっとも感銘を受けた人物に、マザーハウス社長の山口絵理子さんがいます。学生時代に途上国の開発問題に取り組むために単身でバングラデシュに乗り込み、「援助では国はよくならない」と悟って自らバッグ会社を起業し、現地の工場で労働者を雇ってお洒落なデザインのバッグを製造し、日本で販売しています。

   彼女の歩みのなかには仕事術もキャリア論に関する議論もなく、ただ思ったまま感じるままに行動に移していることだけです。MBAも持っていませんが、立派に経営者を務めています。

   世の中には多くの仕事術やキャリア論に関する文章が出回っており、ついそのようなものを読んでは考えこんでばかりいる人もいますが、結局のところ、感じるままに小さな一歩を踏み出せるか否かで、人生が充実するか否かはすべて決まってしまうように思います。あなたは、その最初の一歩を踏み出すことができますか?

岩瀬 大輔

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岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
ライフネット生命保険・代表取締役副社長。1976年生まれ。幼少期をイギリスで過ごしたのち、開成高校を経て、東京大学法学部卒業。在学中に司法試験合格。ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ホールディングスを経て、ハーバード経営大学院(HBS)に留学。日本人で4人目となる上位5%の優秀な成績(ベイカー・スカラー)を修めた。帰国後、元日本生命の出口治明氏と二人三脚で、今までの常識を打ち破る新しい生保会社「ライフネット生命保険」を立ち上げ、2008年5月に営業を開始した。近著に『東大×ハーバードの岩瀬式!加速勉強法 』(大和書房)、『超凡思考』( 幻冬舎、伊藤真氏との共著)。
「生活者にとって便利でわかりやすく、高品質な生命保険サービスを提供する」という理念のもと、インターネットを主要チャネルとして、新しい生命保険を販売している。既存の保険会社に頼らない「独立系の生命保険会社」として戦後初めて免許を取得し、2008年5月に営業を開始。業界のタブーとされた「保険料の原価」を開示するなど新しい試みに挑戦している。
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