2024年 4月 20日 (土)

「対立候補のスパイ」がケータイ片手に狙うもの

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「ケータイが普及したおかげで、選挙運動も変わったよ…」

   ある選挙スタッフは、そう言いました。関西地方の大都市圏の一角から出馬した候補者のボランティアで、選挙のボランティア・スタッフとしては、すでに25年近い経験があります。

   何が変わったのでしょうか?

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選挙違反の「決定的瞬間!」を撮られないよう注意

「ケータイにはカメラが付いているでしょう? 候補者やスタッフが活動中に法律違反をやってしまったり、法律に抵触するような振る舞いをしてしまうと、たちどころにケータイのカメラで現場を写して、対立候補や地元の選管に報告されてしまうんですよ」

   選挙運動中に握手などをしていて集まってくる有権者は、何も支持者や支援者だけとは限りません。対立候補陣営の関係者や見張り番(スパイ)もいます。

   なかには、街頭演説などの法定時間である午後8時を過ぎても、「追っかけ」のように付いてくる人もいるのだとか。

「敵か味方かわからない、そういう人への対応を含めて、ものすごく気をつかうようになりましたね。動画で『違法行為の決定的瞬間!』などとネット上で公開されたら、やはりイメージダウンになるし。
場合によっては、痛くもない腹を警察に探られることになりますから。活動中の適法、違法行為については、候補者はもちろん、スタッフにも徹底して教え込んでますよ」

怪しい人は「もっとお近くへ」と誘導して正体を探る

   候補者の周囲でしょちゅうウロウロしている、敵か味方かわからない「追っかけ」のような人へは、街頭であれば「どうぞ、もっとお近くへ」と誘導したり、「候補とお話しになりますか」などと下手に出て声をかける。

   公民館などでの演説であれば、「お席がありますから、中へお入りになりませんか」と水を向けるなどして、心証を害しないよう気を配りつつ、正体を探るそうです。

   選挙違反を写メで撮って報告しようと、党ぐるみで煽っているところも実はある、とも聞きました。

   たしかに、気疲れしてしまうのも無理はありません。

   しかし、よくよく考えてみれば、日頃悪し様に言われ、ここでも悪者扱いのケータイですが、結局は違法行為への抑止力となっているわけです。

   選挙は本来、公明正大でなければならないもの。ケータイが普及した所為で違法活動が減るなら、有権者にとっては、それはそれで結構なことではあります。

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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