2024年 4月 26日 (金)

「構造的な問題」に着手せよ。トップの逃げ得を許すな!

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   大赤字に苦しむ某新聞社が、なんと、取材費に制限をかけ始めたらしい。どんな制限なのか聞いてみたところ、なんでも「具体的に記事につながるような取材以外は経費と認めない」ということだそうだ。

   この対策は正しいものだろうか?

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一律カットは「本当に必要な処方箋」に逆行する

   この手の経費や予算の“一律カット作戦”は、一時的な落ち込みに対してはそれなりに効果がある。たとえば「アラビア湾で紛争が起きてタンカーが通れません」というような状況なら、問題解決までの期間、みんなで歯を食いしばって耐えることに意味はある。恐らく、紛争は一時的なものであり、それが終われば、需要は以前の通りに回復するためだ。

   だが、現在の新聞業界が直面する不況は一時的なものではなく、明らかに構造的な問題によるものだ。耐えるだけでは皆で仲良く沈む一方だろう。

   今必要なのは「価値ある紙面」を作ることであり、そのために(人員を含めた)事業の取捨選択を行なうことだ。心ある中堅社員は、トップを含めた55歳以上の逃げ得を許すべきではない。彼らは新聞の10年後より、目先のことなかれ主義を選ぼうとするはずだ。

   そもそも、超能力者でもないかぎり、ピンポイントで必要なネタを拾ってくるなんてできるわけがない。だが経費で認められない以上、取材力は間違いなく低下するはずだ。当然、紙面の質も低下するから、「本当に必要な処方箋」に対しては完全に逆行する対策といえる。

   またしょうもないバカ記事で叩かれるなんてことになりかねませんよ。

「内部留保の処分」自社でやってみればいい

   ところでこの新聞、理由はわからないけど構造改革には否定的で、格差を拡大させたとかなんとか、ことあるごとにしょうもない社説を書いている。そういう意味では、自ら身をもって構造改革を否定していると言えなくも無い。三流紙にしては三流なりに一本筋が通っているという意味で、少しだけ見直したのも事実だ。

   そういえば、いつぞやは「企業は内部留保を使って雇用を守れ」とおっしゃっておられた。そこで提案なのだが、どうだろう、記者の手足を縛る前に、まずは自社の内部留保(本社ビル、印刷機等)を処分して、経費に当ててみては?

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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