何から始めればいいの? 「自転車通勤」の初歩の初歩

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   10月も半ばを迎え、すし詰めの通勤電車の窓から見える景色にも秋の色が濃くなってきた。「今日みたいな日に自転車で通勤できたら、どんなに気持ちいいだろう」と思うことはあるが、実際できるかどうかは別にして、いったい何から考え始めればいいのか・・・。そこで、自転車情報ブログ「CyclingEX」を運営する須貝弦氏にお会いして、お話を聞いた。

ママチャリより5キロも軽い「クロスバイク」がおすすめ

いま売れ筋のクロスバイク「エスケープ R3」標準販売価格52,500円(税込み)
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――いきなり初歩的な質問で恐縮ですが、いわゆる「ママチャリ」でも自転車通勤できますか?

須貝 全国的な調査によると、自転車通勤をしている人の約8割が、普通のママチャリ(シティサイクル)を使っているそうです。爪先立ちになるようサドルを高めに設定して、チェーンの緩みを直して油を注し、ブレーキや空気圧を適切に調整すれば、意外に長い距離を走ることができます。休日に、どこまで行けるか試してみてはどうでしょう。
   都内では、電車と自転車では通勤時間があまり変わらないケースが多く、電車の乗り換えが多いほど、その傾向があります。実際に試してみたら「あ、こんなものか」と思うのではないでしょうか。とはいえ、都心の勤務先まで毎日30分以上も自転車をこぐことを考えれば、ある程度の投資をして、より快適に運転できる自転車を選んでおくのが現実的だと思います。

――ママチャリ以外に、どんな種類の自転車があるんですか?

須貝 代表的なものには、タイヤが細くてドロップハンドルの「ロードバイク」や、タイヤが太くて頑丈な山道仕様の「マウンテンバイク」があります。ただし、これらはビギナーの自転車通勤に最適とはいえないので、2つの良さをあわせ持った「クロスバイク」から始めるのがいいと思います。高価な印象があるでしょうが、売れ筋のものでも5万円前後で買うことができますよ。

――クロスバイクは、ママチャリとどう違うのですか?

須貝 なんといっても軽いです。一般的に、ママチャリが18kgくらい、クロスバイクが13kgくらいが目安です。大きな米袋1つを荷台から下ろした分だけ、運転の負担が減るということですね。タイヤの太さや、ハンドル・サドルの形、乗り方の姿勢はママチャリとは異なりますが、慣れればとても快適ですよ。

――スピードは結構出るのでしょうね。

須貝 軽くこいでも時速20km、頑張れば40~50km出る、れっきとした「乗り物」です。ですから原則として、車道を左側通行することになります。歩道を走ることを前提としているママチャリとはまったく違う感覚で乗る必要があります。

ポイントは「ルート選び」 適度な流れの裏道を探そう

自転車に関する豊富な情報が日々更新される「CyclingEX」。「10万円で始めるクロスバイク生活」という記事も
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――そうすると、やっぱりヘルメットは被った方がよいでしょうか。

須貝 自動車のドライバーに「真面目に走っているぞ」とアピールするためにも、ヘルメットは不可欠です。それから、パンクに備えて修理キットも用意しておきたいし、普通のパンツではお尻が擦り切れるので、専用のインナーパンツもあればよいと思います。
   慎重に考えると、自転車5万円に対し、周辺キットに5万円くらいかかると考えてよいでしょう。高価な自転車だけ買って、あとは何もないというのでは、準備不足で乗る機会も少なくなりますよ。

――実際の通勤に当たって、何が一番のポイントとなるでしょうか?

須貝 私は「ルート選び」が重要だと思います。自動車の流れが速すぎたり、大きくて複雑な交差点があったりすると、交通事故の危険が高まります。適度な流れの裏道を見つけて走るのが理想です。また、バスレーンが確保されている道があれば、安全に通行できる可能性が高くなりますが、行きと帰りでは交通状況が大きく変わることもあるので注意が必要です。

――「事前に会社に届けを出す必要があるか」という点については?

須貝 そこは会社によって異なると思いますが、一般的には万一事故を起こしたときに通勤災害と認めてもらうためにも、会社にはOKをもらっておくべきです。それに、路上駐輪はマナーとしては良くないですし、お気に入りの自転車を盗まれてしまったらショックです。会社に頼んで、敷地内に駐車させてもらうのが一番いいと思います。まずは会社の制度を確認しましょう。

――最低限の慎重さは持っておいた方がいいということですね。

須貝 自転車は「軽車両」なので、飲酒運転が適用されますし、傘差し運転も禁じられています。自転車通勤をしたいがために無理やウソ、危険を冒すのは本末転倒です。当たり前の部分をクリアしておければ、自転車通勤は身体にもいいし、ストレス解消にもなるので、ぜひ試してもらいたいと思います。


須貝弦

ライター。「自転車は暮らしを豊かにする」をテーマに、自転車ライフに役立つ情報をピックアップするブログ「CyclingEX(サイクリング・イーエックス)」を運営中。
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