ストレス解消、モテ要素・・・ 会社帰りに「和」のお稽古に通う男たち

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   「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を持ち出すまでもなく、仕事以外に打ち込めることを持っていると、生活全体にメリハリがつくこと。そこで注目されているのが、「和」のお稽古ごとだ。仕事帰りに通える時間帯に開かれている稽古もあり、「ストレス解消」と「モテ要素」を兼ね備えた趣味として、男性の参加者も増えているようだ。

「植物に触れることが癒し」

金曜日の夜に開かれている草月流「男性のためのいけばな教室」
金曜日の夜に開かれている草月流「男性のためのいけばな教室」

   東京・赤坂にある、いけばな草月流本部教室。月3回、第1・2・4金曜日に「男性のためのいけばな教室」を開講している。元々は、いけばなで独立したい男性向けに、1982年に男子専科として始められたようだが、いまでは「女性が多いクラスでは気後れする」「男性ならではの感覚を磨きたい」という人にも支持されている。

   稽古の時間は、午後6時から8時半まで。時間内であれば、いつ来て始めてもよいのは忙しいビジネスマンには嬉しい。月の稽古3回のうち1回は、草月流最高位クラスの「家元研究科」にも出席できる。

   教室には20代から70代までの男性が、約60名在籍。1回の稽古の出席者は10~15名ほどで、初心者から指導者を目指す人までレベルは多種多様。「華道家」の假屋崎省吾氏も、かつてこの教室に通っていたという。

   教室運営課の松田慎吾さんによると「若い男性が増えてきたのは、2007年ごろから」。稽古中の教室は、独特の緊張感に包まれる。自分の世界に没頭し、集中して花を活けるので、ストレス解消の効果も期待できる。

「生の植物に触れることが、職場にはない癒しの時間となっていると聞きます。女性にモテそうなので始めてみた、という人もいましたね」

   意外なことに男性は女性よりも「マイペースで、上達が速い人が多い」のだそうだ。仕事の他に、他人とはちょっと違う能力を身につけられて、気分転換にもなる。これで女性にモテれば一石三鳥だ。

「日本文化の教養」も高められる

午後9時まで開かれる「男性のための茶道入門」
午後9時まで開かれる「男性のための茶道入門」

   茶道の稽古場にも男性が増えている。東京・日本橋の「茶友倶楽部 空門」では、月に5日「男性のための茶道入門」を開いている。講師は、遠州流壺中庵の堀内宗長氏。1996年に数名で始められたが、いまでは30名ほどにまで増えた。

   稽古の時間は、火曜日は午後4時から、水曜日は午後5時から午後9時までで、自由に出入りができる。茶会に必要な流儀を教わったり、歴史的背景に関する話を聞いたり、他の人が点てたお茶をいただいたりして落ち着いた時間を過ごす。

   「空門」の深海由起子さんによると、「近年、男性で茶道に興味を持つ人は増えている」という。茶の湯を始めるねらいは、さまざま。職場以外の居場所を作りたいという人もいれば、建築やデザイン、国際関係の仕事を携わる人が日本文化の教養を高めるために通うこともあるようだ。女性の多い一般クラスに属する男性もいる。

「特に男性は、茶の湯の歴史的な背景に興味を持つ方が多いですね。奥様と同じ趣味を持つため、という愛妻家の方もいらっしゃいました」

   なお「空門」では、外国人のための茶道体験クラスもあり、毎年大勢の観光客やビジネスパーソンを受け入れているという。都心のビル街にある純和風の稽古場を見て、外国からのお客様は非常に喜ぶらしい。来日した人にとって、最高の思い出になるのではないか。

   これこそ「伝統とモダンの融合」――。なんともセレブな雰囲気だが、いけばな同様、かなり強力な「ストレス解消法」と「モテ要素」を兼ね備えた趣味となりそうだ。

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