救済されるJAL、救済されない日本

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   JALを税金で救済することの是非について議論が盛り上がっている。

   だがそんな小さなことは別にどうでもよくて、個人的にはもっと大きなことが気になってしょうがない。それは年金制度だ。

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JAL再建には「OBの年金減額」が不可欠だが

   世の中にはおかしな主張をする人達がいて、「公的年金制度には700兆近い巨額の純債務があるので改革が必要だ」と正論を言われると、「賦課方式というのは、若い人がOBを支えるものなので、純債務があって当然です、破綻なんてしません」と言う。

   1000兆円近い巨額の財政赤字に加え、そんな社会保障の隠れ債務まで背負わされるのは勘弁してくださいという現実論をこっちは話しているのに、とりあえず賦課方式ならば問題はないというロジックが全然わからない。“賦課方式”というのは、唱えるだけでシステムを延命させることの出来る呪文だとでもいうのか。

   もちろん、こういう主張をするのは、厚労省およびその御用学者たちだ。

   ところで、いまJALが息も絶え絶えの状態で政府の再建策を待っている。不振の理由の一つは手厚すぎる企業年金で、再建にはその減額が不可欠だと国交省は主張している。

   企業年金は積立式ではあるが、実際には各社とも莫大な積立不足を抱え、現役世代の稼ぎから補填する賦課方式化している。だから、厚労省的に言うならこうなる。

「ちょっと待ってくれ! 年金というのは現役がOBを支えるものなんだよ! 積立不足だからって全然気にしなくていいんだよ!」

   ところが、JALに関してはなぜか誰も言わないのだ。理由は簡単。賦課方式だろうが修正積立方式だろうが、そんなのは事務屋の言葉遊びに過ぎず、要は金が無ければ潰れるのだ。

国の公的年金も「積立方式」にしてもらいたい

   さて、ここで一つ疑問が残る。重すぎる負担を支えきれなかったJALではあるが、なんだかんだ言っても国が税金で救済しそうだ。年金も多少は減らされるだろうが、大部分は残されるに違いない。JALのOBは文句を言うだろうが、それでもそこらの高齢者よりは、はるかに恵まれた老後を送ることだろう。

   だが、日本国の公的年金制度が支えきれなくなったら、いったい誰が救済してくれるのだろうか?

   「賦課方式!」とみんなで唱えれば維持できると思う人は、今から呪文の練習でもしておくといい。朝6時起床、庭や公園で30回くらい復唱しよう!

   僕は魔法なんて信じていないので、もっと現実的な積立方式に移行してもらうよう要求し続けますけど。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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