同僚に「付き合って」と迫られた!会社に行きたくありません

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   ある調査によると、配偶者との出会いの場所は「職場」という回答がトップとなった。めでたくカップルとなれればよいが、そこにいたるまでの過程では、どうしても不安定な人間関係が続くことになる。思わぬトラブルに発展することもあるようだ。

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「なぜ会社が他人の恋愛を詮索するのか?」

――不動産業の人事です。営業事務の女性社員Aさんから「営業のB君につきまとわれて困っている」という相談のメールを受け取りました。
   それによると、半年ほど前、Aさんは「仕事を手伝ったお礼」として、B君に誘われて一緒に食事をしました。特別な話はしなかったのですが、それをきっかけにメールのやり取りが始まりました。
   2ヶ月ほどまえ、話したいことがあると呼ばれて再び食事をしたときに、B君から好意を告げられ「付き合って欲しい」と言われました。Aさんは交際している人はいないものの、同僚以上の感情がわかないと言って、ていねいにお断りをしたそうです。
   しかし、それからもメールは続き、「今週末飲みに行かないか」「日曜日に映画に行こう」などと毎週のように誘ってきます。これまでは普通の同僚として誘いに応じてきましたが、B君の気持ちを聞いてからは、その気持ちがなくなりました。
   一方B君は、Aさんの帰りの時間に合わせて会社の外で待ち伏せをすることも。Aさんは「どんどんエスカレートしてきて怖い」と感じて、人事部の相談窓口にメールをしたということでした。
   B君は、勤務態度もまじめで、優秀な営業マンなので信じられない気もしましたが、Aさんと面談をすると、「もう会社にくるのが憂鬱。まるでストーカー、気持ち悪い」とB君を完全にシャットアウトしています。
   これは早く何とかしなければマズイと思い、B君とも面談をし聞き取りをしましたが、
「なぜ会社から、自分の恋愛について詮索されなければいけないんですか? これは私とAさんの問題です。口出ししないで下さい!」
と言われました。気持ちは真剣なようです。
   確かにB君の言うことも一理ある気もするのですが、Aさんの心情を考えるとこのまま放置しておくこともできません。どのように対応すればいいのでしょうか――

社会保険労務士・野崎大輔の視点
まじめな恋愛感情でも「セクハラ」になりうる

   男女関係は、基本的には当人同士の問題で、どんな恋愛感情を持つかは人間の自由です。しかし、恋愛トラブルが職場を舞台に起きていて、当事者や周囲の人が不快と感じている場合には、会社は苦情に耳を傾け、職場環境を改善する措置を取らなければなりません。

   B君がいかに真剣でも、Aさんが嫌がっている限り、メールや待ち伏せは「セクハラ行為」と判断されてしまうでしょう。従業員のセクハラ行為には、その当人が不法行為の責任を負うとともに、職場中や勤務時間に行われた場合には会社も管理責任が問われます。「もう会社に来れない」と会社を辞めて、損害賠償を請求されることも考えられます。B君には、Aさんから苦情を受け取っているので、そのような行為をすることをやめるよう伝え、従わなければ譴責などの懲戒処分とすることも考えられます。ただし、B君の行為とのバランスを欠いた解雇などの厳しすぎる処分は、逆にB君から訴えを起こされるおそれもあります。

臨床心理士・尾崎健一の視点
いかに優秀であろうとも対処はB君の方から

   昨今のさまざまな事件を考えると、Aさんの不安な気持ちも想像に難くありません。この状態が続けばAさんの不安は高まり、精神的に不安定な状態になってしまうおそれもあります。すでに「会社に来るのが憂鬱」と訴えているということですが、不眠や体調不良へ進む前に、速やかに適切なフォローをする必要があるでしょう。

   セクハラやパワハラの対応で基本となるのは、事実と確認できたらば、ストレス源となる加害者を被害者から物理的に離すことです。被害者が自分で距離を取れればよいのですが、部署を異動するなどの措置をとることも必要となる場合もあります。その際、B君がいかに優秀な社員であろうとも、Aさんの希望を踏まえてB君への措置を優先します。本人の希望に反して被害者を先に異動させてしまっては、「私は悪くないのに!」と感情をこじらせてしまうので注意が必要です。

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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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