<ビジネス敬語8>上司から打診された急な残業を断るときには?

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   就職氷河期の一方で、会社で働く社員には大きな負担が掛かっているようです。先行きが見えない中で、仕事の増減を残業時間で調整することが多いのでしょう。ただ終業後には、時には大事なプライベートの用事が入ることもあります。

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相手の都合を確認して代替案を出す

   ある日、鈴木さんの旧友から、出張で会社の近くに来ていると連絡がありました。久しぶりの再会を楽しみに、終業後に飲みに行く約束をしました。しかし、そんなときに限って上司から「ちょっと君、頼みたいことがあるんだけど・・・」と残業の打診が。旧友との約束は、めったにないこと。どのようにして自分の都合を切り出せばよいのでしょうか?

A.すみませんが、今日は用事がありまして。他の人ではダメでしょうか?
B.お力になれず恐縮ですが、本日は先約が入っており、お受けするのが難しいです。
C.申し訳ございません。こちらは何時までに仕上げればよろしいでしょうか?

   分かりましたか? 答えはCです。原則としてプライベートの用事よりも仕事を優先するのが、社会人の基本ルールです。どうしてもという場合には、仕事の期日を確認してから対応を。ともあれ、このようなやりとりができるようになるためには、普段から人間関係を円滑にしておくことが前提となります。


ポイント1:「ポジティブ変換法」の法則

   自分の事情を説明する前に、Cのように相手の都合を確認し、代替案を出して前向きな姿勢を示すと好感度が上がります。「できません」というネガティブな情報を伝える前に、その仕事のタイムリミットを確認しましょう。

   もしも翌日の朝までで大丈夫ならば、「どうしても行かなければならないところがありまして、明日の朝までに対応させていただくということでいかがでしょうか」と尋ねて、前向きな姿勢を見せます。仕事以外の先約があることをアピールする必要はありません。

   それでも「どうしても今日中にやってもらいたい」と言われたら、嫌がらせのような理不尽な指示でない限りは、プライベートは別の日にしてもらうべきと私は思います。

ポイント2:「お詫び」の法則

   断りの打診をする前に、申し訳ない気持ちをアピールしましょう。上司からの打診を即座に拒否するのは、社会人としては配慮に欠けます。AやBのように「すみませんが」「恐縮ですが」と反語を使うよりも、申し訳ないというお詫びの気持ちを伝えましょう。場合によっては、上司も事情があるのかと察知してくれるかもしれません。

残業を命ずる上司側の配慮も必要

   次のような言い回しは、ありがちですが、ビジネスマナーとしてはNGです。


NG1:「すみません・・・。実は今日は予定があって、できないんです・・・」

   正しいお詫びの敬語は「申し訳ございません」。また、いくら言葉を濁してすまなそうにしても、こちらの都合を押し付ける事実は変わりません。相手の状況を確認し、代替案を出しましょう。

NG2:「急ぎですか?そうだとちょっと厳しいかもです」

   全体的に敬語になっていません。しかし、納期を確認する前に、丁寧に「お急ぎですか?」と尋ねる方法はあるでしょう。

NG3:「今日はだめなんですが、明日の朝ならやっても結構です」

   「結構です」という表現は上から目線での言い方で、上司に対して使う言葉ではありません。「明日の朝であれば、大丈夫です」であれば少しましです。


   最後に、残業を命じる上司の気遣いについて付け加えます。部下が自分の都合で残業するときは、原則として上司の許可を得なければなりません。同様に、上司は思いつきで残業を命じるのではなく、できるだけ早い時間に部下へ残業を指示すべきです。また、就業時間中に仕事を終えることを原則とし、終業後に急用を頼むときには合理的な理由を説明することが望ましいでしょう。


西出博子

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西出ひろ子(にしで・ひろこ)
マナーコミュニケーションコンサルタント。英国法人WitH Ltd.役員および同社日本支社代表。株式会社ウイズ代表取締役。国会議員秘書、英国留学などを経て、独自のマナースタイルを確立。09年12月よりauとSoftBankでケータイ公式サイト「携帯ビジネスマナー」を、10年2月よりNTTドコモでビジネスマナー連続ドラマ「アベクン」をスタート。『完全ビジネスマナー』(河出書房新社)など著書多数。
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