就活に「コミュニケーション力」は本当に必要なのか

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   就職活動で会社から求められるのは「コミュニケーション力」(通称「コミュ力」)だと言われる。しかし、それがどんな能力を指すのか、何のために必要なのか、あいまいなところも多い。新卒者も混乱しているのではないか。企業の採用担当者に話を聞いてみた。

「求める人材イメージが明確でない会社の言い訳」

意味の分からないスキルが最重要とされているのは不可思議だ
意味の分からないスキルが最重要とされているのは不可思議だ

   産経新聞が主要企業125社を対象に行った調査によると、新卒者採用をする際に「求められる人物像」(複数回答)は、「コミュニケーション力」(の高い人)と答えた会社が90%でトップとなった。

   この結果に対し、ネット上には「コミュ力って何?」と、意味のあいまいなスキルを求めることへの疑問が挙がった。また、「媚びを売ったり、周りの顔色うかがう能力ってこと」「仕事のスキルと関係ないじゃん」などの否定的なコメントも並んでいる。

   業績好調なネットサービス開発会社の採用担当Aさんも、「そんなスキルを堂々と掲げる採用担当者の感覚がまったく理解できない」と苦言を呈する。

「大手を含め、求める人材像を明らかにしている会社は多くない。要するにコミュ力は、そんな準備不足の面接官の目を引きつけて、何かあると思わせる勢いのことじゃないですか。ムラ社会の仲間入りには有効だけど、会社の競争力を高める人材に必須のスキルではないですよ」

   Aさんの会社では「コミュ力」ではなく、新卒者にもある程度の「専門的な適性」を求めるという。見極める方法は、職種ごとに必須スキルと推奨スキルを洗い出し、それを具体的に確認する質問を出すこと。お題は面接日程とともに、前もって知らせるという。

「たとえばマーケティング部門の人材を採用するとき、単に『なぜ当社を選んだか』ではなく、『好きなITサービスは』『こんな新サービスがあったら、あなたならどうPRするか』などと具体的に尋ねます」

   もちろんビジネス経験のない学生のことなので、正解を望むべくもない。しかし、答えに至るまでの論理性や、最低限のビジネス知識、会社や業界に対する研究熱心さを確認できるという。

   大げさなプレゼンテーションでなく、淡々と説明する内容に鋭い指摘が含まれている場合もあるだろう。「日本のコミュ力など、しょせんは声のデカさ」というコメントもあるが、具体的な質問に的確に答えるためには、上っ面の元気ではごまかせない。

コミュ力とは「従順さ」「性格のよさ」?

   ただ、会社によっては、いきなり「御社の課題は・・・」などと切り出すと、「何も分からないクセに生意気だ」と言われるおそれもあるので、注意が必要だという。

「若い人たちに新しい発想を求めると宣言する会社がありますが、それなら生意気なくらいの人材を採用した方がいいのに。結局は和を乱しそうにない、上手に空気を読む従順な若者が人気なんですから、矛盾してますよ」

   一方、中堅商社の人事担当のBさんは、コミュ力について「会社組織の一員としてやっていけるか」「対外的に失礼を起こさない人か」をチェックすることは必要だと打ち明ける。

「会社には、華やかな仕事はそんなに多くありません。『こんな仕事がしたい』と張り切られても、新人が関われる可能性は低く、まずは受身で仕事をしてもらうしかない。こちらの指示を正確に聞き取り、正確に報告できそうか、目上の人を尊重できそうかという意味でのコミュ力は大事なんです」

   また、組織を効率的に運営するために、人物への信頼度が重要であるという。

「社員を性悪説でとらえて組織を回そうとすると、一気に効率が悪くなる。性善説で回すためには、『この人なら安心して仕事を任せられそうか』というところを見る。新卒にはスキル以前に、性格のよさとか誠実さとかを見る傾向がありますね」

   ただ、最終的にはコミュ力だけでなく、学生時代の経験や専門領域の成績なども見るという。特にいまは不況の「買い手市場」。よほど働きそうな人しか採用されないので、結局は総合的に高いポイントを獲得することが必要になるのだろう。

   9割の会社が重視しているとしても、「コミュ力」で9割方が決まるというわけではない。Bさんも「コミュ力だけを鍛えても採用されない。会社に雇ってもらうという感覚ではなく、自分が一員として働くという意識をもって面接に臨むことの方が重要」という。結局は、あいまいなカタカナ語に振り回されるな、ということになるのだろうか。

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