2024年 4月 26日 (金)

ダイエットの大敵! イライラはこうして食欲を刺激する

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   食べるという行為には、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効果があるということは、前々回でも述べました。今回は、食習慣とかかわりの深い「ダイエット」の効果的な方法について、詳しく述べてみます。

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むやみな食事制限が招く「悪循環」

ストレスはダイエットの大敵
ストレスはダイエットの大敵

   ダイエットは、かつては女性の美容の一環というイメージがありましたが、最近では男女問わず健康維持という側面が強まりました。体重増加や肥満が「メタボリック・シンドローム」の誘引となり、生活習慣病のリスクとなることが実証されたからです。

   健康診断の後で、食事内容や生活リズムについて聞き取りされ、

「1日3食食べましょう」
「深夜の食事は控えましょう」
「大食いはせず、ゆっくり噛んで食べましょう」

などのアドバイスを受けた人もいるのではないでしょうか。

   しかし、理屈では分かっていても、忙しい毎日の生活で理想の食習慣を実行するのは簡単ではありません。特にストレスの多いビジネスパーソンにとって、ダイエットとは単純に「意志の強さ」だけで達成できるものではありません。

   というのも、ストレスはダイエットの大敵だからです。ストレスとなる出来事に遭遇すると、身体を守るために「コルチゾール」や「アドレナリン」といったホルモンが分泌されますが、これらのホルモンには食欲を刺激する作用があります。

   また、食べるという行為には、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効果があるので、ストレスを感じると、つい暴飲暴食をしがちなのです。これらは、ストレスに対する身体の自然な反応といえます。

   この作用を逆に考えると、ダイエットのためにむやみに食事を制限することは、

「食べることを我慢する」→「心身が落ち着かない」→「ストレスが高まる」→「衝動的な食欲にさらされる」「不規則な食事を取る」

という悪循環に陥ることになりかねません。ダイエットを行うときには、この点を十分理解しておくことが必要だと思います。

体重減少に成功した「缶コーヒー半分」作戦

   それでは、成功するダイエットとは、どうしたらできるものでしょうか。

   まずは、自分の気分転換方法を持ってストレス軽減を図ることが早道ですが、ストレスを高めない形でカロリー摂取の抑制に成功した人もいます。

   Aさんは営業で外出することが多く、休憩のたびに缶コーヒーを飲む習慣がありました。1日に3本程度、多い日には5本も飲んでいましたが、いつも利用する自動販売機には無糖コーヒーがなく、甘みのあるものしか選べません。

   体重増加が気になったAさんは、健康診断で相談してみると、コーヒーの本数を半分にし、無糖コーヒーやお茶に変えることを勧められました。言うとおりにしてみると、しばらくして1カ月に1キロずつ体重が減り始めたそうです。

   缶コーヒー1本で、角砂糖6~7個分の砂糖が入っているので、3本飲むと角砂糖およそ20個分の砂糖を摂取していたことになるのです。

   あわせてAさんは、毎朝体重計に乗ることにしました。すると、飲み会の翌日には体重が増えているなど、生活と体重変動の関係が手に取るようにわかるので、

「昨日はだいぶ飲み食いし過ぎたから、今日のお昼は揚げ物をやめておこう」

と、自然に微調整を図れるようになったそうです。

   目標を設定して実績を計測し、無理のない形で軌道修正をしていくこと。心身のマネジメントは、ビジネススキルに通じるところがあります。一発逆転を狙うのではなく、自分の身体や生活と向き合い、日常的にできることを重ねることが確実な道といえるでしょう。


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今回の筆者:林 美貴子(はやし・みきこ) 筑波大学大学院 人間総合科学研究科産業精神医学・宇宙医学グループ所属。保健師、看護師。知的労働者のメンタルヘルスや健康管理・健康支援を研究テーマとして医学博士を取得。健康保険組合や外資系企業の人事・健康管理部門を歴任し、実経験を踏まえた視点で研究・調査を行う。

筑波大学大学院・松崎一葉研究室
高度知的産業に従事する労働者のメンタルヘルスに関する研究を行い、その成果を広く社会還元することを目指している。正式名称は筑波大学大学院人間総合科学研究科 産業精神医学・宇宙医学グループ。グループ長は松崎一葉教授(写真)。患者さんを治療する臨床医学的な視点だけではなく、未然に予防する方策を社会に提案し続けている。特種な過酷条件下で働く宇宙飛行士の精神心理面での支援も行っている。松崎教授の近著に『会社で心を病むということ』(東洋経済新報社)、『もし部下がうつになったら』(ディスカバー携書)。
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