2024年 3月 29日 (金)

公務員制度を変えなければ「官僚のムダ」は無くならない

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   僕は昨年の第1回に続いて、先日行われた第2回「事業仕分け」も見学してきたのだが、正直いうとそろそろターニングポイントを迎えつつあるなという気がしている。

   「こんなムダがあったのか!」という風に有権者の意識を高めるきっかけにはなったが、あれだけでカットできるムダは、たかが知れているのだ。

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天下ることでしか報われない年功序列制度

   たとえば、田んぼの環境調査をしている事業を仕分けして、農水省のお役人から

「このカエルはとても貴重なもので、保護する必要があるのですよ」

と言われたとする。

   当然、議員やエコノミストには、ちんぷんかんぷんだ。18歳まで田んぼに囲まれて育ってきた筆者にも、カエルの良し悪しなどはわからない。

   まあ、カエルの権威を仕分け人として連れてくれば、そのカエルが本当に貴重かどうかはある程度わかるだろう。でも、その事業の費用対効果までは、その道の学者といえども分かるはずもない。

   本当に効果を測定しようとすれば、コンサルにでも頼んで費用対効果を検証してもらう以外にない。

   ここで一つ疑問がわく。国の管轄する事業は、大小合わせて7000ほどもある。そのすべてに専門家を立ち会わせ、コンサルやシンクタンクにカネを払って費用対効果を検証することは可能だろうか。

   政府がもう一つ増えるようなものだから、どう考えても現実的ではないだろう。そもそも、そういったムダの有無をチェックするのは、彼ら官僚自身であるはずだ。

   本来、ムダを監視するべき官僚が自らムダを産み出している原因は、天下ることでしか報われない官の年功序列制度にある。メスを入れるべきは、国家公務員の人事制度なのだ。

   というわけで、仕分けはキャンペーンとして定期的にやってもいいけれど、そろそろ公務員制度改革に進むべきだろう。

言いっぱなしのマニフェストは許されない

   ところで、天下りの扱いについては、恐らく今回の選挙でも争点の一つになると思われる。だが、単に

「天下りを廃止します」

と書くだけなら誰にでも出来ることだ。

   問題は、その先をどうデザインするかだ。公務員人事制度を改革して降格や賃下げを認め、組織内で流動性を確保する点にまで言及して、はじめて意義あるマニフェストと言えるだろう。

   要するに、政策の実現プロセスが確保されているかどうかが、言いっぱなしか真面目に考えているかどうか見極めるポイントということだ。

   これは天下り以外にも、雇用、財政、社会保障などにも使えるポイントなので、ぜひ参考にしてほしい。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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