タクシー運転手に学ぶ「お得意様づくり」の奥義

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   岩手中央タクシーの早川さん。お客さんと車内で雑談になったとき、必ずすることがある。それは手帳へのメモだ。信号で停車したときなどを見計らって、日時や乗降場所とともに、乗客と交わした会話の内容を記録する。メモを取る理由は、

「お客様が次回お乗りになったとき、続きの話ができるようにしたいから」

「ヒアリング」ではお客の心を開かない

お得意様ができれば利益率が高くなる
お得意様ができれば利益率が高くなる

   東京など遠方から初めて来たお客さんであっても、この習慣は欠かさない。降車時には、自宅の電話番号を書いた名刺を渡し、「いつでもお迎えに上がります」という。

   ここまでされれば、次回来たときも思わず車を呼んで話したくなってしまう。実際に繰り返し指名して利用する常連客も少なくないそうだ。

   この取組みは、早川さんが個人的に「この会社を世界一のタクシー会社にしたいから」と始めたものだが、総務課の上山さんによると、会社の運転手の中には、早川さんの話を聞いてメモを真似る人も出ているという。

   どんな業種においても「自分の事を覚えてくれているんだ」という感情をお客様に持ってもらう事は、顧客満足を高める上で重要な要素だ。得意先が増えれば、仕事のロスが減って利益率を高めることもできる。

   企業や店舗のリピーター創出を支援する経営コンサルタントの一圓(いちえん)克彦氏は、早川さんが利用者の心をつかめるのは、話の持ち掛け方が絶妙だからと指摘する。

「情報を取ろうと考えると、いきなり『お名前は?』とか『出張はどれくらいの頻度で?』といったことを尋ねがちです。でも、そういう値踏みをするようなヒアリングでは、またこの人の車に乗りたいなんて思わないでしょう。何気ない普通の『世間話の続き』だから、お客さんも心を開くのです」

水商売では「ケータイ写真」も駆使している

   出張の多い一圓さん自身も、各地でいつも使うタクシー会社があるそうだ。仕事の後で会食を終え、疲れているときに目をつぶっていても常宿や自宅まで送り届けてくれる。そういう「いつもの運転手さん」は、乗客にとっても非常にメリットがある。

   お客を捕まえることにおいては、クラブのホステスも徹底している。一定レベル以上の店であれば、一度訪れたお客の顔と名前は覚えているものらしい。話題の中に出てきた好きな食べ物や嫌いな食べ物、女性タレントやブランド品の好みも、重要な情報としてこっそりチェックする。

   好みに合わない話題を振って不興を買えば、商売あがったりだ。携帯電話で撮った写真とともに、さまざまな情報を管理している女の子もいる。これなら顔と名前を一致させられる。

「すみません。一緒に写真撮ってもらってもいいですか?」

なんて言われても、モテていると勘違いしない方がいいのかもしれない。

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