「接待ゴルフ」で休日出勤手当はもらえないのか

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   会社の経費削減が進む一方で、社員の業績アップへの圧力は強まるばかり。営業担当が自腹を切ってクライアントを接待するケースもあるようだ。ある会社では若手営業マンがクライアントとの休日ゴルフに疲れ、「せめて仕事と認めてもらえないか」と考えている。

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送迎のガソリン代もバカにならない

――広告代理店に勤めている30代男性です。営業を担当しています。クライアントの重役さんとのゴルフにハマっており、なんとか抜けられないか思案しているところです。
   その重役さんには、営業成績が上がらないときに、ずいぶん助けてもらいました。仕事のあとに飲みに連れていってもらい、つい悩みを漏らしたとき気晴らしにと誘ってもらったのがゴルフでした。
   最初のうちは数カ月に1回だったのですが、そのうち回数が増え、この春は隔週ペースに。最初のうちは上達するのが楽しみでしたが、ここのところ仕事も忙しくなり、休みの日はゆっくりしたいと思うようになりました。
   また、重役さんの知り合いを含めて参加メンバーを自家用車で送り迎えをするのですが、ガソリン代や高速道路代などの負担もバカになりません。とはいえ、付き合いを断ることで仕事も給料も減ってしまうのが恐ろしいです。
   そんな折、上司に「ちょっと疲れているようだな」と声をかけられたので、事情を話したところ、

「そんなにムリして付き合わなくてもいいんじゃないか。できる範囲でいいよ」
と言われてしまいました。
   一方、友人は「そりゃひどいな。どうみても『サービス(賃金不払い)休日労働』じゃん。労働基準監督署に訴えるべきだろ」と言います。せめて休日出勤にカウントしてもらい、休日手当や振替休日をもらえたら助かるのですが、そんなことは不可能でしょうか――

社会保険労務士・野崎大輔の視点
接待ゴルフは原則労働時間に含まれない

   相当疲れているようですね。クライアントとの接待ゴルフというと、仕事との関連が強いので、労働時間に当然含まれるべきという考えもあるでしょう。休日も潰れてしまうので、なんとしても休日手当をもらいたいと主張する人もいるかもしれません。

   しかし接待ゴルフは、原則として労働時間に含まれないとされています。取引先との親睦を深めるという業務につながる目的はあるものの、ゴルフ自体が趣味やレクリエーションの一環とみなされるからです。今回のケースでも、休日出勤と認めることは難しいでしょう。これは飲食などの接待でも同じことです。

   労働時間と認められるためには、上司からの業務命令があり、会社が費用を負担し、業務またはそれに付随することをしながら接待する場合に限られます。ゴルフを通じて実質的な業務を行っているようであれば、上司と相談して会社に費用を負担してもらい、休日労働として認めてもらうことも考えられます。

臨床心理士・尾崎健一の視点
上司と別の席を設けてもらうように検討する

   健康維持やワークライフバランスの観点からは、体力を使う接待ゴルフで休日をつぶしてしまうのは要注意だと思います。上司と相談して、クライアントの重役にゴルフの回数を大幅に減らすよう頼んでもらいましょう。

   ゴルフは送迎を含めると、早朝から深夜まで働きづめの「過重労働」にもなりかねません。疲労がたまって居眠りし、クライアントを乗せて交通事故を起こすようなことがあっては、会社の信用にかかわります。やむを得ずクライアントと出かけるときは、必ず上司の耳に入れておくべきです。私生活でも「接待ゴルフで家庭崩壊」ということもあります。

   恒例のゴルフを断る代わりに、上司も同席する定期的な接待の場を別に設けることを提案するとスムーズにいくかもしれません。働く人の意識も変わっていますので、会社も「営業の自腹接待は常識」などという考えをあらため、必要な経費は負担してあげるようにした方がよいと思います。


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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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