規制強化は「ありがた迷惑」? 派遣社員から「反対」の声

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   東京大学社会科学研究所は2010年9月27日、工場で生産業務に従事する派遣社員・請負社員を対象としたアンケート結果の概要を発表した。政府が臨時国会への提出を目指す「製造現場への人材派遣禁止」について、派遣社員からは、雇用機会が増えないだけでなく、自らの雇用機会を失うおそれがあるとして「反対」する声が半数を超えている。

派遣禁止で「雇用は増えない」「働けなくなる」

派遣社員の8割が「派遣法改正によって失業の可能性が高まる」と懸念(出典:東京大学社会科学研究所)
派遣社員の8割が「派遣法改正によって失業の可能性が高まる」と懸念(出典:東京大学社会科学研究所)

   調査は10年8月に実施。回答者の平均年齢は35.3歳。男性が66.1%を占めた。

   就業形態は、「派遣社員」が32.8%、製造業務を請け負う会社に勤務する「請負社員」が46.3%だった。自らの就業形態が「わからない」人も20.1%いた。

   「製造派遣の禁止」に関する意見としては、派遣社員からは「反対」が55.3%と半数を超えたのに対し、「賛成」が13.5%で賛成の4分の1にとどまった。その他、「どちらともいえない」「わからない」といった明確な意見を持たない層も3割近くあった。

   禁止に反対する理由としては、「派遣を禁止しても、正社員などの雇用機会が増えないから」が69.5%と最も多く、次いで「自分が派遣で働けなくなるから」が65.9%だった。

   賛成の理由は、「派遣は雇用が不安定だから」「派遣で働き続けても安定した仕事に就職できないから」という答えが上位を占めた。

   また、労働者派遣法の改正によって、失業の可能性が高まる程度を尋ねると、「かなりある」が53.1%。「ある程度ある」(26.0%)と合わせると、約8割の派遣社員が「規制強化によって失業のリスクが高まる」と答えている。

   リーマンショック後、製造派遣の現場では「派遣切り」が生じ、失業者が激増。これを受けて鳩山政権は、製造派遣や、仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ「登録型派遣」を禁止する労働者派遣法の規制強化を10年3月に閣議決定した。

   しかし、産業界などから「規制強化でかえって雇用しにくくなる」「規制緩和によって産業構造を変え経済を上向きにすることが先決」といった反対意見が相次いでいた。今回の調査結果は、実際に働く人たちからの反対が多いことが分かり、今後の国会審議が注目される。

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