NAVERまとめの「気をつけよう、セクハラ事例集」が話題だ。セクハラは「相手の意思に反する」性的な言動であり、どのような場合にハラスメント(嫌がらせ)となるかあいまいだが、中には荒唐無稽な言いがかりのような例もあるらしい。性的なのは「君」か「いれた」か「セクハラではありえない」というわけでもないらしい女性社員に「胸、大きいねえ」と言ったり、「彼氏はいるの?」としつこく聞いたりすることは、もはや古典的なセクハラになっている。男性もあえて言わないし、言われた女性も拒否の姿勢を明らかにする。しかし、NAVERまとめに上がっている「君がいれてくれたコーヒーはおいしいよ」という言葉がセクハラ、となると、あいまいなどころか、どこが性的な嫌がらせなのか全く理解できない人もいるのではないか。ネット上には、「『いれた』が性的なんじゃないか」「さすがに『おいしい』はダメだろう」といったコジツケをはじめとして、さまざまな角度からの説が飛び交っている。「これに限って言えば、部下に対して『君』はなれなれしい」「コーヒー『は』おいしい。つまりコーヒー以外はまるでダメ……」「コーヒーいれるのが女の仕事だと思うなよ!女性軽視ってことだと思いますが」また、このような言葉は「奥さんや恋人に対していうこと」であり、仕事で義務的にやっている社員からすると、過剰な感謝の言葉を言われたくないのだと指摘する人もいた。「あなたとはそんな関係じゃないって。『ありがとう』くらいにしとけ」望まない相手から「擬似恋愛」を想起させる言葉をかけられたくないということか。一方で、「そんなものはセクハラに当たらない」と主張する女性も。「お茶なんて女が入れて当たり前って思ってる人が多い中、『美味しかったよ、ありがとう』と言ってくれる上司がいますが、ほんと嬉しいですよ!」「発言以前に好き嫌いで決まっている」言われっぱなしの男性側からは、もはや諦めたというような嘆きが。セクハラは主観的なものであることを指して、「好きな男なら『ありがとう』。嫌いな男に言われると『セクハラ』」「発言の前に、すでに好き嫌いでセクハラ認定されている」と、基準のあいまいさを揶揄する声も。「髪、切った?」と声をかけることがセクハラという主張に対しても、「若手の男性社員には『髪型変えました?』って言ってるじゃん」「何も言わなきゃ言わないで、超鈍感、信じられないとか文句垂れるくせに」と憤懣やるかたない。人気ブログ「ビジネス法務の部屋」を運営する山口利昭弁護士は、部下に「ちゃん」付けでメールを送った男性大学職員に2ヶ月の停職処分が下された件に関連して、「たとえば『裕美』さんという20代の女性に対して同年代の男性職員が公然『ヒロミ』と呼び捨てにしてもセクハラに該当することはないでしょうが、私のような者が香水の匂いを感じとれる距離から『ロミちゃん』などと呼ぼうものなら、『きっしょー!』ということでセクハラの対象になるわけであります」と書き、その主観的な性格と、職場のコンプライアンス対策の難しさについて言及している。まずは部下に対して「擬似恋愛」を想起させる言動は慎むべきと、肝に銘じておいたほうがよさそうだ。
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