2019年 11月 19日 (火)

NASAがチリ落盤事故の救助支援をした理由

印刷
建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   今回から3回に分けて、宇宙飛行士の国際宇宙ステーション長期滞在を支援したJAXA(宇宙航空研究開発機構)の井上夏彦・主任開発員が、宇宙空間におけるストレスの特徴や、その対処法について解説します。

>>ビジネスパーソンのストレス対処術・記事一覧

宇宙と地底には共通点が多かった

NASAの支援策について語るマイケル・ダンカン博士(NASAのホームページより)
NASAの支援策について語るマイケル・ダンカン博士(NASAのホームページより)

   2010年8月5日に発生した、南米チリ北部の落盤事故。一時は絶望視された作業員は、約2か月後の10月13日午後9時55分、33人全員が無事救助されました。

   この救助活動で、チリ政府はNASA(アメリカ航空宇宙局)に支援を依頼し、8月末に専門家が現地入りしています。その理由は、地下700メートルの深い地の底と、地上400キロ離れた国際宇宙ステーションとの間には、多くの共通点があったからです。

   実際、極限環境の宇宙飛行士を支援するNASAのノウハウは、救出を待つ作業員のストレス軽減と士気の維持に大いに役立ったようです。

   チリの作業員たちは気温30度以上、湿度80%以上とみられる劣悪な環境の坑道に閉じ込められていました。当初、救出は年末になるともいわれ、彼らが受けたストレスの強さやいかばかりであったかと思います。

   一方、国際宇宙ステーションに長期滞在する宇宙飛行士は、次のようなストレスを受けています。

(1)ひとつの事故や不注意が命取りになる危険な環境に暮らす「緊張感」
(2)閉鎖・隔離された環境と、それに起因する「孤独感」や「隔絶感」
(3)固定されたクルー構成と、それに起因する「対人関係ストレス」

   私も、若田飛行士や野口飛行士の国際宇宙ステーション長期滞在を支援した経験がありますが、作業員たちが閉じ込められている映像からも、宇宙飛行士とよく似たストレッサーにさらされていることが分かりました。

筑波大学大学院・松崎一葉研究室
高度知的産業に従事する労働者のメンタルヘルスに関する研究を行い、その成果を広く社会還元することを目指している。正式名称は筑波大学大学院人間総合科学研究科 産業精神医学・宇宙医学グループ。グループ長は松崎一葉教授(写真)。患者さんを治療する臨床医学的な視点だけではなく、未然に予防する方策を社会に提案し続けている。特種な過酷条件下で働く宇宙飛行士の精神心理面での支援も行っている。松崎教授の近著に『会社で心を病むということ』(東洋経済新報社)、『もし部下がうつになったら』(ディスカバー携書)。
今すぐ無料会員に登録して、コメントを書き込もう!
お知らせ

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中