コントみたいな採用面接 「御社が第一志望です」

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   先週から事業仕分けの第三弾がスタートした。まあお役所の無駄は政治に任せるとして、民間にも削るべき無駄はいろいろと存在する。個人的には、無駄の最たるものは「新卒時の就職活動」だと考えている。

   僕自身、就職活動はとっても下らないと感じていて、なるべく手間も時間もかけなかった。その後、採る側にまわったものの、印象は全く変わらない。あれは本当に時間の無駄である。

   どこがどう無駄かというと、恐らく誰もが必ず口にするであろうこのセリフにすべてが集約されている。

「御社が第一志望です」

受ける側も採る側も分かっている

   ちょっと冷静に考えてみてほしいのだが、“第一志望”だと心の底から言える会社がどれだけあるだろうか。

   グーグルやアップルのようにオンリー1の個性を持っているか、あるいは業界でダントツの首位で、同業他社とは労働条件やステイタスがまったくかけ離れている企業か。そういった会社に対してしか「御社第一志望です」なんて言えないはずだ。

   たとえば、僕の大学の同期で「俺はぜったい新聞記者になるんだ」と常々言っている記者志望の男がいたのだが、就職活動では朝日、日経、読売の3社を中心に回っていた。それ以外じゃダメなの?と聞くと「他は給料が安いからイヤだ」という。

   ただ、そんな彼も御三家以外の某紙も一応受けてはいた。新聞社なんて(少なくとも当時は)超難関なので、贅沢言ってられないからだ。

   さて、そんな彼が某紙の面接を受けた場合、やっぱり第一志望ですとしゃーしゃーと言うわけだ。いや、言わねばならないのだ。

   どう考えたって毎○新聞第一志望とかありえないだろう。そんなことは面接するほうだって分かっているはずである。というか、たぶん自分たちだってホントは第一志望じゃなかったはずである。

   そういう、受ける側も採る側も、本音が別だと分かっていながらやるコントみたいな面接が、なんというかすごく時間の無駄である。

就社から「就職」活動に切り替えよう

   結局、御社第一志望というのは、終身雇用制度の裏返しなのだろう。そもそも“就職”という言葉を見ても明らかなように、本来の就職活動は職に対して行われるものだ。

   だが、採る方も採られる方も、一発勝負で超長期雇用契約を結ばざるを得ない結果、就職が就社に切り替わり、「御社第一志望です」というおかしな言葉が生まれたのだろう。

   とはいえ、このおかしなカルチャーもグローバル化の波からは逃れられない。

   少なくともホワイトカラーの人事制度は、今後20年で間違いなく世界標準である年俸制に移行し、終身雇用制度は名実ともに終焉を迎えるはずだ。大手企業で相次ぐ英語公用語化は、そのための下準備のようなものである。

   今月から既に2012年卒予定の学生を対象とした就職戦線がスタートした。昨年から引き続き就職活動を継続中の人間も少なくないだろう。とりあえず、有名な会社をダメ元で回ってみるのも悪くない。僕はそういう従来型の就職活動を全否定はしない。

   ただ、それで内定が取れなかったなら。もう1年間、コントみたいな就社活動を続けるよりも、発想を変えて“就職”活動をしてみてはどうだろうか。日本全国、企業規模を気にしなければ、希望職種の求人はきっと待っているに違いない。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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